例えば、一般的によく耳にするのが、保育園的要素に対応してくれる範囲について。原則として11時間保育や土曜開園は義務付けられているが(ただし就労の状況などの地域の実情に応じて、各施設の判断での運用も可能)、園によっては働くママを想定せず、平日に保育園行事や役員会などを行うケースもあると聞く。
ママが働いているかそうでないかによって、役員会などの参加に対する捉え方が異なることは少なくなく、ライフスタイルが違うママ同士の共存も、気になるところではある。
●幼稚園からの移行初年度は、試行錯誤で混乱するケースも
「確かに、認定こども園で平日に行事や保護者会などが入り働くママが困ってしまうケースは見聞きします。特に幼稚園から移行したばかりのところだと、初年度はそういったこともある程度は想定しておいたほうがいいかもしれません。とはいえ、運営側も試行錯誤がありつつ、だんだんとお互いがスムーズに過ごせるようなシステムが整備されていくとは思いますよ」
こう語るのは、現在の保育園や認定こども園の現状に詳しく、保活専門家として活動する山下真実さん。実は山下さん自身もお子さんを認定こども園に通わせており、当初の試行錯誤を保護者として体感しているという。
ちなみに、山下さんの園では保護者からの要望を受けて工夫を重ねた結果、現在では区内でも人気の園となったそうだ。
●幼保の連携による保育の質は、園による差異が大きい
ただ、すべての園が試行錯誤を経て幼稚園と保育園の連携がうまくいくとは限らないだろう。
「共働き世帯が増えて幼稚園のニーズが低下している現状では、幼稚園から認定こども園に移行するケースは今後もかなり増えると思います。そうなると、保育の質を落とさずに、どれだけ幼保がしっかり連携できるのか? それは認定こども園が抱える一番大きな課題です。その点がどれだけクリアできているかはやはり園によるところが大きいので、認定こども園では実際に足を運んで見学することが重要になると思います」(山下さん)
2017年10月の時点での認定こども園の現状は、前年度より1080園増えて5081園。うち約4割は幼稚園が移行した形となっている(※)。この勢いは来年以降も継続するのは間違いなく、認定こども園は今度も増えていくだろう。
待機児童解消のためにこの流れはもちろん歓迎すべきところ。まずは現状の課題を把握しつつ、認定こども園の発展に期待したい。
(取材・文:高山惠 編集:ノオト)