●体を冷やさない暖房の使い方
「暖房の適した温度設定は20度ぐらいといわれています。暖房の温度は上げすぎないようにしてください。必要以上に温めすぎると、汗をかいて体が冷えてしまいます。また、温度が高すぎると体の温度調節機能が働かなくなり、自分で体を温めることができなくなってしまうのです」(川嶋朗先生 以下同)
では、もし会社や学校など、エアコンを避けられない環境にいる場合の対処はどうしたらいい?
「冷房が寒い場合は着込めばいい夏と違い、部屋を暖める冬の対応は難しいですが、できるだけ着脱しやすい衣服で体温調整するしかありません。汗をかいて体を冷やさないように、薄着にもなれるような服装を選んでください」
●冷え性対策で気をつけたいことって?
冷え対策にいいと思われている厚着も、冷えには個人差があるので、自分の状態を理解していないと間違ったことをしてしまうので実は注意が必要なのだとか。
「例えば、冷え性の方は寝るときに靴下を履かない方がいいという情報もありますが、それは靴下を履かなくても眠れる人、つまり冷え性とはいえない人に対してのことです。そういう人が靴下を履いて寝ると、温めすぎて汗をかき、かえって体が冷えてしまいます。ところが、重い冷え性の人は汗などかけませんし、靴下なしでは冷えて眠れません。世間で広まっている冷えにいいという情報は鵜呑みにせず、自分が心地よいと感じるもので調節してください」
●冷え性を根本的に治すためには
続けて、川嶋先生は「冷え性は体を温めることだけでなく、体の調整機能を奪わない生活を心がけなければ、根本的な解決にはなりません」という。
では、すでに自分の体が冷えやすい状態になっている場合、どのように改善していったらいいの?
「ひとつの改善方法は、運動をして筋肉をつけることです。体の熱の発生は基礎代謝によるものが約70%。基礎代謝の約40%を筋肉が司っていますから、体温を上げるために筋肉をつけることは大切です。20代30代の方は慢性的な運動不足の方が多い。エレベーターを使わず階段を使うなどの小さな工夫の積み重ねで筋肉量が増えます。そうすれば、温度調節できる体質に近づきます」
暖房器具に依存しているとエアコンによる不調を引き起こす可能性がある。生活習慣を改善しながら、冷えから体を守っていこう。
(取材・文:石水典子 編集:ノオト)