ベジファースト・食事回数を減らす…本当にダイエット効果はあるの?

第2回 ウソ?ホント?スマホ時代の情報Q&A
美しいスタイルをキープしたり、健康を維持するために、日ごろからダイエット情報をチェックして、日常生活に取り入れている人も少なくないはず。とくにネット上では、「●●をしたら痩せる」といった情報が数多くありますが、正直怪しい…。そこで、テレビや雑誌などでも活躍中の医師・ジャーナリストである森田豊さんに話をうかがいました。

ベジファーストよりも肉ファースト

食事の際に、野菜から食べることで血糖値の急激な上昇を抑え、脂肪をつきにくくすると言われている「ベジファースト」。でも、そもそも血糖値と脂肪には、どういう関係性があるのでしょうか?

「私たちが食事をすると、食べ物は消化されブドウ糖となって血中に流れ込み、細胞に取り込まれます。この、“血液中に含まれているブドウ糖”が血糖で、どれくらい含まれているかを示す値が、血糖値です。血糖値が食後急激に上昇すると肥満につながることが知られるようになりました」(森田さん、以下同)

血糖値の急激な上昇は、肥満の他にも血管の老化や生活習慣病の原因にもなると森田さん。ならば、野菜から食べて血糖値の上昇を抑えるのは有効なのでは? と思いますが…。

ベジファースト・食事回数を減らす…本当にダイエット効果はあるの?

「ベジファーストのように、食べる順番を変えたところで、食事時間が10~20分程度であれば、食べたものは胃のなかで一緒になるので、ダイエット効果はありません」

ベジファーストは、野菜を食べたら時間をおいて次の品…のように、時間(30分以上)をかけて食事をすることで、はじめて意味があるのだとか。さらに、森田さんはベジファーストよりも、“肉ファースト”を提案しています。

「豆やかぼちゃ、ポテトサラダのように、野菜のなかには炭水化物を含んでいるものも多いです。でも、肉には糖質がありませんし、多く含まれている脂肪は血糖値の上昇とは関係ありません。また、肉を最初に食べることで、血糖値の上昇を抑制するインクレチン(GLP-1)という消化ホルモンの分泌が高まることも、最近の研究(*1)でわかったのです」

食事回数を減らすのは肥満のもと?

ネット上には「朝食抜きダイエット」なるものも存在しています。1日の総摂取カロリーを減らすと同時に、胃腸を休めて健康効果もあるらしい…。

「私は1日3食が理想的だと考えています。その理由は、栄養やエネルギーを定期的に補給することで、活動的な体を長時間維持できるからです。食べる、寝る、呼吸するといった生命維持のために必要な活動エネルギーを『基礎代謝』といいますが、この基礎代謝の部分をいかに効率よくカロリーを消費させるかが肥満防止のポイントとなります。1日の食事のなかでも、朝食による摂取カロリーの多くは代謝されることがわかっています。つまり、朝食は脂肪になりにくいわけです。たとえば朝・昼・夜にまったく同じ献立・カロリーの食事をした場合、朝食では摂取したカロリーのほとんどが代謝されます」

森田さんによると、ダイエット目的で食事をするならば、夜よりも朝にしっかり食べたほうがいいとのこと。さらに、朝食をとるのが週2回以下の人は、毎日食べる人に比べて脳出血の危険性が36%高まるという研究報告(*2)もあるそうで、健康の観点から見ても「朝食抜きダイエット」はNG。

「●●抜きダイエット」などのような手軽で苦労なく行えるダイエット法には、大きな落とし穴が潜んでいる可能性あり! 生活に取り入れる前に、しっかりと調べることを習慣づけましょう。
(文・奈古善晴/考務店)

(*1)関西電力医学研究所の研究グループが解明し、2015年12月24日付けの欧州糖尿病学会誌「Diabetologia」オンライン版に掲載
(*2)国立研究開発法人国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループ「朝食の欠食と脳卒中との関連について」

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

お話をお聞きした人

森田豊
森田豊
医師・ジャーナリスト
秋田大学医学部、東京大学大学院医学系研究科を修了、米国ハーバード大学専任講師を歴任。現在、現役医師として医療現場で医業に従事する。また、テレビや雑誌などのメディアでジャーナリストとして活動。『今すぐ「それ」をやめなさい!Dr:モリタのやめるだけで健康になる50のヒント』(すばる舎)など著書も多数。
秋田大学医学部、東京大学大学院医学系研究科を修了、米国ハーバード大学専任講師を歴任。現在、現役医師として医療現場で医業に従事する。また、テレビや雑誌などのメディアでジャーナリストとして活動。『今すぐ「それ」をやめなさい!Dr:モリタのやめるだけで健康になる50のヒント』(すばる舎)など著書も多数。