「デトックス」という医学用語はない
そもそもデトックスとはどういうものなのでしょうか?
「デトックスは医学用語ではありません。“サプリを飲んで重金属を出そう”などと謳われていますが、実際には重金属のような毒素が排出されることはありません。例えば、『フットバスデトックス』や『足裏樹液シート』と呼ばれるものは、足をつけることで液体やシートが変色するのですが、それらはインチキです。ただ、汗に含まれる塩分やフットバスのなかに入れてある塩分や不純物(鉄分)が化学反応を起こしているだけなんです」(桑満さん、以下同)
「海藻や野菜を食べる」、「コーヒー浣腸」、「コロンクレンズ」、「出産」など、さまざまなデトックス方法がありますが、「世の中に溢れかえるデトックス方法に、医学的に有効であるという確実なエビデンスはない」と、桑満さんは断言します。
「デトックスと似たような言葉で『キレーション』があります。点滴などで体内にある毒をくっつけて体外に出すという方法です。医療としてこういったことをしなければなりません」
そもそも人間の体には解毒システムが備わっている
「コンビニ食品は添加物まみれで体に悪い」、「オーガニック食品は健康にいい」といったように、昨今健康に対する意識が高まっています。そのなかのひとつがデトックスになるのですが…。
「人間の体には解毒システムである肝臓があります。アルコールを飲みすぎると肝臓が悪くなりますが、これは解毒で酷使されるからです。また、老廃物は便として排出されますよね。腎臓は血液をろ過して尿として排出されます。このように人体には、元々解毒する仕組みがあるので、わざわざ意識してデトックスをする必要はありません」
仮に添加物や農薬が体に悪いとしても、今現在、体調を崩していなければ人体の解毒システムが正常に機能しているからデトックスをする必要はなく、もし体調を崩しているならば、根も葉もない民間医療には頼らず病院へ行くというとてもシンプルな話のようです。
とはいえ、流行を取り入れたい気持ちもありますよね。そんなときは、「毒素を出す」という目的ではなく、「話題のコールドプレスジュースを飲む」程度の気持ちで、イベント感覚で楽しむようにしましょう。
(文・奈古善晴/考務店)