半身浴で汗をかいてもダイエットにはならない
ダイエット目的で半身浴をしたことがある人もいると思いますが、きっとそれだけでは痩せていないはず。
「半身浴でダイエットはできません。お風呂に使っているときの運動量は、安静時を1METsとすると、入浴は1.5METs程度です。日常生活で歩くのが3METs程度になるので、お風呂に浸かっているときのカロリー消費は、ほとんど安静時と変わりません」そう話すのは、お風呂博士と呼ばれる株式会社バスクリンの石川泰弘さん。
「METs(メッツ)」とは安静状態と比較して、どのくらいのカロリー消費をしているか表すもの。要するに、半身浴はただソファに座ってのんびり過ごしているときと、同程度のカロリーしか消費できないため、それだけではダイエットになりません。
「ダイエット目的で入浴するなら、半身浴ではなく全身浴で体温を上げましょう。体温を上げることで、ヘモグロビンから酸素が離れます。また、温まることで関節可動域が広がるので、体が動き易くなりエネルギーを消費しやすくなります。お風呂の中で簡単なエクササイズをすると、思った以上にエネルギー消費が高まるので、ダイエットにむすびつきます」(石川さん、以下同)
血液中のヘモグロビンが酵素から離れると、細胞への酵素配給がスムーズになり、脂肪を燃焼しやくなるのだとか。
また、ダイエットの他にもデトックスを目的として、半身浴をするケースもありますが、こちらも実は間違い。
「半身浴で汗をかき老廃物を出そうと考える方がいますが、汗では老廃物はあまり出ません。汗よりも尿のほうが多く出ます」と石川さん。
冷え取りをするなら半身浴ではなく全身浴
ネット上を見てみると、「冷え症改善には2時間以上半身浴をする」などといった情報が存在します。しかし、実はこれも正しいとは言えません。
「そもそも半身浴は、心臓に病気を持っている人や心臓が弱い人の入浴方法です。実際に冬に行うと寒いので、体が温まるまでに全身浴のほぼ2倍の時間がかかります。冷え症を改善するには、15~20分間の全身浴を最低でも1カ月程度は続けましょう。また、熱いお湯ではなくぬるめのお湯に浸かることで、副交感神経が優位になり、血管も拡張するので、2週間くらいで変化を感じられると思います」
熱い湯船に浸かったあとは、体がぽかぽかして冷え症を改善できたようにも感じますが、それはあくまでも一時的なもの。本当に改善するためには、毎日適温でかかさず入浴することを心がけましょう。
残念ではありますが、ネット上でいわれるような効果は、半身浴には期待できません。でも、気分をリラックスしたり、趣味のひとつとして楽しむ分にはまったく問題なし。ただし、入浴の前後にしっかり水分補給することをお忘れなく。
(文・奈古善晴/考務店)