そんな時代だからこそ、心配なのがネット上でのセキュリティ意識だ。子どもにデジタルデバイスを使わせる際に、安全面を考えたときに最低限、親が気を付けておくべき点とは?
『AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55』を上梓した明治大学専任講師の工学博士であり、2男1女の母親でもある五十嵐悠紀氏に、情報リテラシーの教え方について聞いた。
●ルール1…住んでいる場所や名前は入力させない
「子ども向けの知育アプリのなかには、かわいいキャラクターが『どこに住んでいる?』『おとうさんの名前は?』と入力を促すものもあります。当然、子どもは正直に答えようとするのですが、サーバーに溜まった回答が外部に出た場合、個人情報の漏洩につながってしまうリスクもあります」(五十嵐氏 以下同)
4、5歳ともなると、住所や親の名前を自分で画面に入力できる子もいるだろう。名前、住所、性別などの「本当の情報」はアプリ(ネット上)で書いてはいけないものだ、ということはしっかりと教えていこう。たんにそのアプリを禁止するだけでは意味がない。重要なのは基本的な対応策だ。
「たとえば、どこに住んでいるのか聞かれたら、●●県××市という住所じゃなくて『公園の横だよ』と入力しよう、アプリに入力する名前は愛称にしておこうね、という基本的な“ネチケット”(インターネット利用上のマナー)は、必要な場面が来たら親子で話し合いながら、教えてあげてください」
●ルール2…大事な情報は子がアクセスできないようにパスワードを設定
子どもがデジタルデバイスと適切に付き合うためには、「子どもは誘惑に勝てない。目の前にタブレットがあったら、隠れてでもやってしまう」というものだと親が認識しておくことも大事だそう。
「8歳の長男に『起きてから朝食までの時間でならタブレットで遊んでいいよ』というルールを決めたところ、朝3時に起きて遊んでいた、ということがありました(笑)。子どもが勝手に使えないようにパスワードをかける、SNSと連携させないなど、親自身が気をつけて管理することも大切です」
写真やデータを勝手にアップされる危険もある。子どもが遊ぶときには、親自身の仕事のメールやSNSとの連携は全部切っておくことも重要だ。
基本的なネチケットをしっかりと教えていくこと。そして、子どもが好き勝手に使えないような環境を親が整えておく。スマホやタブレットを日常的に子どもに使わせている家庭では、この2つのルールを徹底して守っていこう。
(取材・文:阿部花恵 編集:ノオト)
書籍紹介:「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新社)