それぞれのマスクの特徴は?
同じマスクとはいえ、見た目も手触りも異なる2種類のマスク。まずは、それぞれの特徴をうかがいました。
「簡単に言うと、フィルターがなく、一枚のガーゼを折り畳んで縫製してあるのがガーゼマスク、薄い不織布のなかにフィルターが入っているのが不織布マスクです」(原さん)
では、このフィルターが入っているかどうかの違いは、マスクの性能にどんな影響を与えるのでしょう?
「ガーゼマスクは、大人用で16~18枚合わせ、子ども用で12枚合わせなど、何重にもなってはいるものの、結局目が粗いガーゼを重ね合わせただけなので、ガーゼの隙間を通れる大きさのものなら通してしまいます。しかし、不織布マスクに使われるフィルターは、BFE(細菌飛沫)、VFE(ウイルス飛沫)、PFE(ラテックス粒子と呼ばれるとても小さい粒子)を99%カットするものがほとんどで、ガーゼマスクよりも防塵効果が高く、性能は高いといえます」(濱本さん)
ただこれは「あくまでもフィルターの性能の話」と、濱本さんは続けます。
「よく誤解があるのは、『99%カットするマスク』=『マスクを着けたら99%予防できる』わけではないという点。あくまでも『ウイルスや細菌などを99%カットする機能を保有したフィルター入りのマスク』という意味です。ノーズフィットが付いてはいますが人の顔は千差万別で、マスク着用時には多少の隙間ができるんです。その隙間から花粉や飛沫の侵入を防ぐことはできないので、『99%カットマスクなら完全にシャットアウトする』というのは誤解です」(濱本さん)
たしかに、マスクがあるとなんだか安心してしまう…。マスクをしているから大丈夫という油断は禁物ですが、風邪や花粉の予防対策としてはとても効果的とのことなので、使う目的やシーンに合わせてマスクを使い分けると良さそう。
防塵性は不織布マスクが上だけど…ガーゼマスクはこんな人におすすめ

インフルエンザや風邪の予防という意味では、不織布マスクのほうがよいとのこと。それなら、ガーゼマスクは何のためにあるの?
「ガーゼマスクは、単純に防寒の意味で使う人やお年寄りなどガーゼマスクのほうがなじみがあるので使うという人が多い印象です。また、花粉などアレルギー体質の方は、化学製品で作られた不織布マスクだと影響が出ることもあるので、綿100%のガーゼマスクにするという人もいます。お子さんの場合は、不織布マスクのノーズフィットが密着するのが嫌というケースもありますね。しかし、天然素材である綿を使っているガーゼマスクは保湿性に優れており、喉を乾燥から守ってくれますので、防寒・乾燥対策という観点からはガーゼマスクがおすすめです」(濱本さん)
また、ガーゼマスクは保湿に優れているという噂も聞くけど…。
「ガーゼマスクは綿なので、水分を含みます。その点では、保湿に優れているといえます。反対に不織布マスクの化学繊維は水分を含みづらく、保湿性能は高くありません」(原さん)
不織布マスクをつけたままくしゃみをしたり、暖かい部屋から急に寒い外に出たりした時、内側に水滴が残っているということ、ありますよね。唾などがマスクに当たってもはじいてしまうので、口元が気持ち悪いなんてことも。しかしガーゼマスクは吸収してくれるので、そういった不快感は感じにくいのだそう。
