筋肉痛になっても筋トレしてもいい?
ズバリ、「筋肉痛が起こっている部位のトレーニングは控えた方が良いでしょう」と重松さんは進言する。
筋肉痛については未だ科学的に解明されていないことも多い。現在の有力な学説ではと前置きしつつ、重松さんはこうアドバイスする。「筋肉は例えるならゴム。伸縮によって鍛えられます。トレーニングを行うことで筋繊維が破壊され、修復する。この工程が繰り返されることで筋肥大します。この筋繊維が損傷する時に炎症が起こるのですが、これがいわゆる筋肉痛だと考えられています。いわば怪我をしている感覚なので、休養が必要です。無理に行えば怪我につながるリスクもあります」(重松さん。以下同)
筋肉痛とトレーニングを考える上で重要なポイント
「超回復」を利用する
では一体、「休養」はどのくらい摂ればよいのだろうか?
「トレーニング後、48時間は間隔を空けて次のトレーニングを始めることをおすすめします」
実はこの休息時間にこそ筋力を高めるポイントだ。「超回復」という言葉を筋トレ好きの読者なら耳にしたことがあるのではないだろうか。
超回復のメカニズム
超回復とは、未だ科学的に証明されている正式な理論というわけではなく、あくまで概念的なものだ。ストレスに対する身体の反応の一つとして考えられている。
筋肉はトレーニングをすると疲労し、筋力は低下する。しかし、筋力が落ちたままでは困るので、身体は回復しようとする。この、疲労から回復に向かう過程において、前のレベルを超えて筋力が高まるのが「超回復」のメカニズムだ。
筋肉の回復には48時間〜72時間程度要すると言われている。この回復期には、筋肉の中でタンパク質の合成レベルが高くなる。栄養素として摂ったアミノ酸を合成して新しいタンパク質をつくり、筋肉を太くしようとするからだ。その合成は48〜72時間後くらいまで続く。そこでおそらく、筋肉の修復・合成がひと段落すると考えられ、超回復が起こっていると考えられる。
「怪我を防ぐためにも、トレーニングのメニューは1週間単位で考えることをおすすめします。トレーニングから2〜3日後に超回復の現象が起こると考えれば、週2回程度のトレーニングでも十分効果はあります。もしトレーニングを毎日行いたい人なら、毎日鍛える部位を変えてローテーションすれば、各部位2〜3日の間隔を開けることができます」
「休養=何もしない」ではない
「休養」というと、何もせずに休むということをイメージする人もいるかもしれないが「アクティブレストといって、ジョギングをしたり、ストレッチを行ったりすることをおすすめします」と重松さんは話す。
特に、ストレッチは効果的だという。筋肉をほどよく動かすことで、血流が良くなり筋肉痛の回復スピードがアップするそうだ。
「筋肉痛の回復を早めたいなら、トレーニング後や1日の終わりにストレッチをするのも有効です。体が温まっている時がおすすめですよ」
お風呂上がりに、1日の終わりのリラックスタイムを兼ねてストレッチに励むのも、充実のライフスタイルの匂いが漂ってなかなか乙だ。
ただし、48時間以上痛みが続いている場合は炎症が起きている証拠なので、動かさずに冷やそう。
筋肉痛を和らげる効果的な部位別「ストレッチ」
広背筋のストレッチ
<ストレッチの行い方>
1、足を開いて直立し、上げた両手を左側面に倒して壁、あるいは棒をしっかりとつかむ
2、両手の指でしっかりと体を引っ張り、右の広背筋が伸びていることを意識する
3、広背筋の伸びを意識しながら、鼻から息を吸い、口から吐く
4、呼吸を繰り返す
5、反対方向も行う
<ポイント>
•t息を止めない!
•tよりストレッチを感じたい場合は、右足を後ろに引く
ストレッチポールを使った背筋のストレッチ
<ストレッチの行い方>
1、床に置いたストレッチポールに肩甲骨を乗せ、お尻を少し浮かす。両手は頭の下に置く。頭からお尻までがまっすぐになるような体勢をとる
2、ストレッチポールを転がしながら、肩甲骨の周りをほぐす。この動きを30秒程度行う
3、筋肉がほぐれてきたら、肩甲骨の下でストレッチポールを止め、お尻を床につける
4、しっかり息を吸いながら、頭の後ろに置いた両腕の肘を床につけるようなイメージでゆっくり開き、ストレッチを感じる
5、息を吐きながら上体を起こす
6、4.5を10回繰り返す
三角筋のストレッチ
前部・中部・後部から成る三角筋。部位によってストレッチが異なるので一挙に紹介しよう。
<三角筋後部のストレッチの行い方>
1、足を開いて直立し、水平内転した左腕を右腕で捉え、筋の走行に沿って伸ばす
2、反対の腕も同様に行う
<三角筋中部のストレッチの行い方>
1.足を開いて直立し、左腕を内転させる。筋の走行に沿って右斜め下に腕を伸ばす
2、反対の腕も同様に行う
<三角筋前部のストレッチの行い方>
1、左腕を伸ばして壁を押す
2、スクワットするようにゆっくりとしゃがんでいく
3、反対の腕も同様に行う
<ポイント>
いろんな角度からアプローチし、ストレッチを感じる!
筋肉痛と上手に付き合って腹筋を鍛えよう!
「筋肉痛は正しくトレーニングできた証拠。起こるのは悪いことではありません」と重松さんは話す。トレーニングするなら避けては通れない筋肉痛だが、「NO PAIN, NO GAIN」は筋トレもビジネスも同じであることを、一流ビジネスパーソンの読者なら既にお気付きのはずだ。成長の証である嬉しい痛みを歓迎するくらいの余裕で、美BODYへの道を突き進もう。
Text by Naoko Takeda