腕立て伏せの正しいフォームをチェック!
腕立て伏せのやり方を知らない人はほとんどいないだろう。しかし、「正しい腕立て伏せのフォーム」を理解できている人は案外多くない。
「腕立て伏せは、自重のみで大胸筋を鍛えることができる唯一のトレーニングです。また、正しいフォームで行うことで腹筋も同時に鍛えることができます。上半身を鍛えるには手軽かつ最適なトレーニングなので、是非正しいやり方を理解して取り入れて欲しいですね。」(寺田さん。以下同)
チェックポイント1:頭からかかとまで、体は一直線に固める
「腕立て伏せで一番のポイントは、体が一直線になる状態をキープすることです。」
腕立て伏せをする前に体を持ち上げたら、頭からかかとまでが一本の棒の様になっていることを意識して欲しい。これが、腕立て伏せの基本の姿勢となる。よくわからない場合は、鏡で横から見てチェックしてみよう。
「上げるときも、下ろすときもこの基本の姿勢を崩さない様に注意しましょう。そうすることで軸が安定し、腹筋も同時に鍛えられますよ。」
チェックポイント2:肩から垂直に腕をおろす
「腕の位置を間違っている人が多いのですが、正しくは肩から垂直におろした位置に腕をおくことです。」間違った腕の位置で腕立て伏せを続けると、大胸筋に効果がないばかりか、体を痛める原因ともなるので注意が必要だ。
ちなみに寺田さんによると、適切な手の幅は効かせたい部位によって異なるそうだ。「大胸筋全体を鍛える時は、手の幅を広めに。手の幅を狭くすると、大胸筋の内側に効かせることができます。」
チェックポイント3:胸から下りるのを意識する
「下ろすときに、顎やお尻から下ろしてしまう人が多いのですが、胸から下ろすことを強く意識して欲しいです。この時、反り腰にならないようにも注意してください。」
チェックポイント1でも述べたが、腕立て伏せでは体を常に一直線に保つことが重要となる。この基本の姿勢を崩さないようにすれば、自然と胸から下ろすことになり大胸筋にしっかりと負荷がかかる。
腕立て伏せ(プッシュアップ)の基本のやり方
「基本の腕立て伏せは、大胸筋全体を鍛えるためにぜひマスターしてください。また、基本を少しアレンジした腕立て伏せで大胸筋上部にピンポイントに効かせることもできます。」
ここでは、基本の腕立て伏せと、大胸筋上部に効かせるための腕立て伏せの2種類のトレーニングを、動画とともに寺田さんに解説いただく。
2種類のトレーニング
基本の腕立て伏せ(プッシュアップ)
<基本の腕立て伏せ(プッシュアップ)の行い方>
1、両手を開いて床につける
2、つま先を床につけ、腕と足で体を支える
3、お尻と上背部と後頭部を一直線にした体勢をキープして、上半身をゆっくりと沈める
4、上体を持ち上げる
5、1−4を繰り返す
<トレーニング時の注意点>
・お尻と上背部と後頭部を一直線にキープするのが最大のポイント。この姿勢でトレーニングすれば、胸から沈み、胸から上がるため、大胸筋に負荷がかかって鍛えられる
・3で上体が沈みきった際、脇と上半身は約60°の角度で開いていれば正しいポジションでトレーニングを行えている目安となる
大胸筋の上部を鍛える腕立て伏せ(プッシュアップ)
<大胸筋上部を鍛える腕立て伏せ(プッシュアップ)の行い方>
1、両手を開いて床につける
2、基本の腕立て伏せ時より、お尻を高くつきあげる
3、脇を締めながら斜め下に向かって体をゆっくりと沈める
4、お尻の方向に上体を上げる
5、1−4を繰り返す
<トレーニング時の注意点>
・大胸筋上部の筋肉の走行を理解し、意識する。筋肉の走行に沿って体を上げ下ろしする
・頭からお尻までの状態は一直線をキープする
大胸筋を効果的に鍛える腕立て伏せの3つのコツ
1:下ろす時はゆっくり、上げる時は早く
ベンチプレスなどのトレーニングとも共通するが、腕立て伏せも下ろすときに一番負荷がかかる。
よって、下ろすときの動作をゆっくり行うことを心がけて欲しい。「3秒で下ろして、2秒で上げる」くらいのスピードが最適だと寺田さんは言う。
また、深く体を下ろすほど負荷は強くなるので、できるだけ深いところまで体を下ろしてみよう。その際、体を一直線にキープすることをお忘れなく。
2:適切な回数を適切な負荷で行う
「腕立て伏せを100回するというのは、大胸筋を大きくする上で実は有効ではありません。筋肥大を目的とするならば、RM6-12回になるようにしましょう。」
このRMは、レペティション・マキシマムの略で、反復可能最大回数のこと。RM6回なら、「6回繰り返して行うのが限界」という負荷だ。
とはいえ、自重で行う腕立て伏せで負荷を調整するにはどうすれば良いのだろうか?
「下ろす速度と深さである程度は調整できます。10秒くらいかけて下ろすと、けっこうきついですよ。」負荷が足りないと感じた場合は、なるべくゆっくり・深く下ろしてみよう。
「それでも負荷が足りない場合は、リュックの中にオモリを入れて、背負った状態で腕立て伏せを行ってみるのも良いでしょう。」
3:腹筋と大胸筋に効いていることを意識する
腕立て伏せを行う上で、意識すべき筋肉を寺田さんに聞いたところ、その答えは「腹筋と大胸筋」。
「正しいフォームで行うと、まずお腹が辛くなります。そして、大胸筋に効いている感覚があるはずです。」一方で、間違ったフォームで行うと、大胸筋に効いている感覚がなく、腕や肩が先に辛くなるという。腕や肩が痛くなって腕立て伏せが続かないという場合は、正しいフォームのチェックに戻ってみよう。
腕立て伏せがうまくできない場合は?
ここまで腕立て伏せの正しいフォームやコツを紹介したが、正しいやり方で行うと、それなりに負荷もかかりハードなトレーニングでもあることがわかる。そのため、初心者や体重の重い人は、思うように腕立て伏せができないこともあるだろう。そこで、腕立て伏せができない人のための対策を寺田さんに教えていただいた。
「基本の腕立て伏せができない場合は、まず膝をついてやってみましょう。膝をついた状態で、正しいフォームを覚えて、回数を増やしていくことで徐々に筋力がついて基本の腕立て伏せができるようになります。また、手の下に何かを置いて高さを出すと少し楽にできるので、苦しい人はぜひ試してみてください。」
ポイントをおさえた腕立て伏せで、分厚い胸板を手に入れよう!
誰でも知っていて、専用の器具も必要なく、自重だけでできる腕立て伏せは、いつでもどこでも大胸筋を鍛えることができる大変効果的なトレーニングであることをお分かりいただけたのではないだろうか。
誰でもできるからこそ、正しいフォームとコツをしっかり理解しているかどうかで差がつく。ポイントをおさえた正しい腕立て伏せで効率的に大胸筋を鍛え、分厚く男らしい胸板を1日でも早く手に入れよう。
腕立て伏せとともに、取り入れたい大胸筋を鍛えるトレーニングはこちら。
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Text by Saki Ebisu