潰瘍性大腸炎との付き合い方
編集部
ほとんどの場合は、薬で治るのですか?
河口先生
いいえ。残念ながら、現時点では潰瘍性大腸炎を「治す」治療法は見つかっていません。ですので、なるべく炎症を抑えて「寛解(症状のない状態)」を目指します。早く寛解に導き、寛解の期間をできるだけ長く維持することが治療の目標となります。
編集部
潰瘍性大腸炎の人が日常生活で気をつけることはありますか?
河口先生
食事に関しては、個人差はありますが、寛解期であれば、基本的には健康な人と同じような食事で問題ないことが多いです。ただし、活動期(症状が強く出ている状態)には、辛いものや脂っこいもの、アルコールなどの刺激物は控えるといった、いくつかの注意点があります。
編集部
ほかに、潰瘍性大腸炎と付き合っていくうえで気をつけることはありますか?
河口先生
潰瘍性大腸炎は、自律神経が乱れると悪化することが多いため、ストレスを溜めないように工夫したり、十分な睡眠をとったりすることも大切です。また、調子がよいからといって薬を飲まないと悪化してしまうので、症状がなくてもしっかり治療を継続するよう、患者さんにはお伝えしています。
編集部
最後にメディカルドック読者へのメッセージをお願いします。
河口先生
潰瘍性大腸炎は「指定難病」とされていますが、近年では治療薬が大きく進歩し、多くの人が外来の治療だけで、健康な人とほとんど変わらない日常生活を送れるようになってきています。症状を上手にコントロールするためには、早期発見と早期治療が重要なので、気になる症状があれば、できるだけ早く専門医に相談し、自分に合った治療法を見つけることをおすすめします。
編集部まとめ
潰瘍性大腸炎は珍しい病気ではなく、誰にでも発症しうる腸の自己免疫疾患です。下痢や血便を「ちょっとお腹をこわした」「ストレスかな」などと自己判断して放置すると炎症が進行し、重症化する恐れがあります。早期診断と的確な薬物療法で炎症を抑え、寛解を維持することが生活の質向上につながります。気になる症状のある人は、早めに消化器内科を受診してみてはいかがでしょうか。
参考文献:
・「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班:潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識
http://ibdjapan.org/patient/pdf/01.pdf
・難病情報センター:潰瘍性大腸炎(指定難病97)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/62

