女優の髙石あかりがヒロイン松野トキを演じるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(総合ほか)の第55回が12日に放送される。江藤リヨ(北香那)の恋が終わった。リヨから思いを寄せられていたレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)は過去を話した余韻が抜けず…。
「ばけばけ」第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」(第51~55回)振り返り(ネタバレあり)
ヘブンが日本で初めての正月を迎えた。通訳の錦織友一(吉沢亮)に抱負を聞かれたヘブンは、日本滞在記を完成させたいと答え、そのための「ラストピース」を探していると語った。トキは、滞在記を書き終えればヘブンが松江を離れてしまうのではと不安を抱く。その後の新年会で、ヘブンが「ツギ、フユ、ワタシ、マツエ、イナイ」と発言。その瞬間、場の空気が凍った。トキと錦織が冗談だと取り繕うが、錦織の耳にはトキの「やっぱり通りすがりなんですかね」というつぶやきが残った。
松野家にとって、トキがヘブンの女中として得る毎月20円の給金は生活の支え。ヘブンが去ればトキは仕事を失い、再び借金返済地獄に逆戻りしてしまう。家族は、島根県知事の娘であるリヨがヘブンを射止めれば、トキも知事家の女中として給金が上がると期待。リヨの恋を後押しするようになるが、トキは素直に応援できず、胸の内にモヤモヤを抱えた。
その後、江藤家で病気から回復したヘブンの快気祝いが開かれる。リヨは「お慕いしています。松江に残って、私と夫婦になっていただけませんでしょうか?」とプロポーズ。戸惑いながらも、誠意を感じ取ったヘブンは自らの過去を初めて語り出した。
ギリシャで生まれたヘブンはその後、英仏を転々とし米国へ。現在の日本にたどり着き、「残念ながらこれは、居場所を定められない私の宿命なのです」ともらした。リヨはずっと松江にいればいいとすがるが、「ノーノー、コワイ…デキナイ」とヘブン。そして米国で出会った女性、マーサ(ミーシャ・ブルックス)との日々を語った。奴隷の娘として虐げられたマーサに惹かれ、異人種間結婚が禁じられたオハイオ州でマーサを説得し、式を挙げたヘブン。牧師に「今ならまだ引き返せる」と諭されても、ヘブンは永遠の愛を誓った。「後悔はありませんでした。それどころか私は、希望と幸せに満ちていたのです」。話を聞いた全員が息をのんだ。そのころ、トキはひとり長屋で川の向こうを眺めていた。
ヘブンの告白は続いた。当時、新聞社はマーサとの結婚を理由にヘブンを解雇。その後、マーサはカミソリで大家を切りつけ警察に捕まった。ヘブンは、自暴自棄になったマーサとの別れを決意したという。「人と深くかかわることは、やめたんです。どの国でも、どの街でも、ただの通りすがりの人間として、生きていくことにしたのです。誰とも深くかかわらない。恋人でも、友人でも、誰でも。そう決めたんです」。その場にいた全員が驚きを隠せないなか、ヘブンは「オリヨサン、ゴメンナサイ」と謝った。涙があふれる目でリヨはヘブンを見つめた。
江藤家から帰宅したヘブンはどこか落ち込んでいたが、トキは何があったのか聞けない。そしてヘブンは、リヨからもらった鳥を空に放った。その表情から、リヨとのことが終わったと察したのか、トキは、リヨからもらった湯たんぽも漬物石で破壊しようとした。ヘブンは慌てて湯たんぽを奪い「コワス! ナイ!」と止め、笑いながらトキに「チェア、ニガス、チェア、タメ。ユタンポ、コワス、ダレ、タメ?」と言った。落ち込んでいたヘブンだが、トキの行動に「オモシロイ」と言って、2人で笑いあった。
「ばけばけ」第55回あらすじ
リヨの恋が終った。ヘブンは過去を話した余韻が抜けず、米国にいるイライザ・ベルズランド(シャーロット・ケイト・フォックス)に思いをはせる。翌朝、出勤するトキの前にリヨが今までの応援のお礼に現れる。お礼のついでに発したリヨの一言に、トキは動揺する。
一方、ヘブンを迎えに来た錦織の様子がどこかぎこちない。ヘブンにある質問をした錦織は、その翌朝迎えに現れなかった。
朝ドラ「ばけばけ」とは?
松江の没落士族の娘、小泉セツと、その夫で作家のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルとした物語。島根や熊本などを舞台に、怪談を愛し、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の姿をフィクションとして描く。脚本は「バイプレイヤーズ」(テレビ東京)や「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(総合)などで知られるふじきみつ彦氏。主題歌「笑ったり転んだり」をハンバート ハンバートが歌う。

