14日に最終回を迎える連続ドラマ「日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』」(TBS系、日曜午後9時)。競馬界を舞台に、家族や仲間との絆を軸に20年の歩みを描いてきた本作で、主人公らが育ててきた愛馬ロイヤルファミリーが、先代から託された悲願「有馬記念制覇」に挑む。陣営が狙うのは、落馬、競走中止からのGI制覇という離れ業。劇中に、実在する有名騎手が登場し、現実の競馬界とリンクした演出も話題の本作で、この展開は一見“奇跡”のように見えるが、実際の競馬界でも大きな故障やアクシデントを乗り越えて頂点に上り詰めた例はあり、物語が決して絵空事ではない点も競馬ファンを惹きつける理由の一つだろう。ドラマの集大成となるグランプリレースで、ロイヤルファミリーは悲願を成就できるのか? 立ちはだかる最大のライバルは? 最終回の行方に視聴者の関心が高まっている。
「ザ・ロイヤルファミリー」とは?
競馬の世界を舞台に、夢を追う大人たちが家族や仲間との絆で奇跡を起こす20年の物語。山本周五郎賞とJRA賞馬事文化賞を受賞した早見和真氏の同名小説が原作で、日本中央競馬会(JRA)の全面協力により制作される。主人公の栗須栄治を俳優の妻夫木聡が演じるほか、SnowMan・目黒蓮、松本若菜、沢村一樹、中川大志ら豪華俳優陣が共演する。
第9話(7日放送)では、中条耕一(目黒)が亡き父、山王耕造(佐藤浩市)から引き継いだファミリーが2024年、天皇賞・秋に出走。しかし、主戦騎手の野崎翔平(市原匠悟)が落馬し、ファミリーも骨折をした。さらにファミリーの右眼に重篤な疾患「角膜実質膿瘍」が判明し、引退の危機に追い込まれるが、耕一たちの尽力で奇跡的に回復。また落馬以降スランプが続いていた翔平も先輩騎手、佐木隆二郎(高杉真宙)の助言でヒントをつかみ、再びファミリーに騎乗する決意を固めた。栗須と耕一が万全の状態で夢の大一番に挑む。
落馬→GI初制覇
競走中の落馬後にGIを初制覇した馬といえば、まず1985年のギャロップダイナが挙げられる。5歳夏の札幌日経賞でつまずき落馬となったが、その4戦後、条件馬として出走した天皇賞・秋で無敗の三冠馬で当時最強と言われたシンボリルドルフを大外から差し切り、大番狂わせを演じた。
そしてもう1例が、SNSでファミリーの父、ロイヤルホープのモデルとささやかれた「個性派」ステイゴールドだ。デビュー2戦目で4コーナーを曲がり切れずに騎手を振り落とす形で落馬、競走中止している。GIで2着4回と惜敗が続いたステイゴールドは「シルバーコレクター」と呼ばれつつも、多くのファンに愛されてきた。そして01年、50戦目に海外の大レース、香港ヴァーズに出走してGI初制覇、この勝利を花道に引退している。
このような劇的な展開が最終回で描かれるのか。さらにはそれ以上の「ドラマ」が待っているのか。ただ、ドラマで本命視されるのは耕一のライバル馬主、椎名展之(中川)が所有するソーパーフェクトだろう。第9話ではクリストフ・ルメール騎手を背に、皐月賞と日本ダービーを無敗で制覇。劇中のスポーツ紙に掲載された「神の脚。すごい馬です」「空を飛んでいる感覚だった」というルメール騎手のコメントは、「英雄」ディープインパクト主戦を務めた武豊騎手の名言を彷彿させる。そのディープら歴代の三冠馬でも成しえなかった無敗の有馬制覇という偉業にソーパーフェクトが挑む。
ファミリーかソーパーフェクトか? カギを握るのは…
ここでカギを握りそうなのが、チームロイヤルの主戦騎手だった隆二郎の存在だ。最終回予告には、展之の父、善弘(沢村一樹)の勝負服で馬を駆る隆二郎の姿がある。第9話でも隆二郎は、馬主の世界にも「世代交代」の波が迫っていることに触れ、善弘に、他人の心配をしている場合ではないのではと含みを持たせた「忠告」をしていた。
現実よりも2週前にクライマックスを迎える「ザ・ロイヤルファミリー」。グランプリレースは、14日に「発走」予定だ。

