第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は3月5日に開幕する。日本代表「侍ジャパン」にとっては2連覇がかかる大会で、日本はドジャースの大谷翔平投手(31)が参加を表明、山本由伸投手(27)も予備ロースター入りをしていることが判明した。ヤクルトからホワイトソックスへ移籍した村上宗隆内野手(25)についても球団がWBC出場を容認する見通しだ。日本が4度目の世界一を目指す大会でどのチームがライバルになるのか-。1次ラウンド各組の戦力を分析した。第3回は東京ドームで開催されるC組を紹介する。(丸数字はWBSC世界ランキング)
C組(3月5~10日、東京ドーム)◎日本①、オーストラリア⑪、▲韓国④、チェコ⑮、○台湾②
今大会はアジア開催が1組のみとなり、2009年に行われた第2回大会以来初めて日本、韓国、台湾のアジア強豪が同一グループに配置された(13年、23年は台湾、17年は韓国で1組が開催された)。前回王者の日本が飛び抜けた存在で、韓国と台湾の戦力が拮抗していることもあり、2位争いが熾烈になりそうだ。
侍ジャパンは米国、ドミニカ共和国に引けを取らないV候補
前回王者の日本は大谷が早々に参加を表明。山本やメジャー1年目ながら移籍先のホワイトソックスが出場容認姿勢の村上と一定数のメジャーリーガーの招集にめどがついたのは大きい。過去に日本が優勝を逃した2013年はオールNPB編成、17年は当時アストロズの青木宣親のみとメジャーリーガーを呼べなかったことが負けに直結していた。
その点、前回大会同様に大谷が真っ先に出場を表明し、それに呼応してメジャーリーガーが参戦していく流れが今大会もできている。
大谷がDH一本だったとしても、山本に加え、今永昇太投手(32)=カブス、菊池雄星投手(34)=エンゼルス、菅野智之投手(36)=オリオールズFA=らをそろえることができれば、先発陣は大会屈指のレベルとなる。米国、ドミニカ共和国に並んで優勝候補の一角と言っていいだろう。1次リーグは4連勝で気持ちよく突破し、韓台豪の3チームに2位を競わせるのが理想的な展開だ。
準々決勝はドミニカ共和国が1位、ベネズエラが2位とみられるD組と対戦するため、1位確保が持つ意味は過去大会以上に重い。
プレミア12王者の台湾は要注意
日本が最も警戒すべき相手は、2024年プレミア12で優勝した台湾だ。野手陣は元レッドソックスで前回大会のオランダ戦で満塁弾を放った張育成内野手(30)=富邦、プレミア12でMVPに輝いた陳傑憲外野手(31)=統一、強打の捕手でプレミア12では名前の読み方が日本でも話題になった吉力吉撈・鞏冠(ギリギラウ・コンクアン)捕手(31)=味全=らが予備ロースターに入った。
焦点となるのはダイヤモンドバックス傘下3A所属のエース左腕・林昱珉投手(22)をどこで使うかだ。プレミア12では決勝の日本戦で先発し、4回1安打無失点と侍打線を封じた。台湾は3月5日にオーストラリアと1次リーグ第1戦を戦い、6日の日本戦は2戦目。一方で日本にとっては台湾戦が大会初戦だ。日本は大谷、村上、佐藤輝、吉田、近藤と主力に左が多いこともあり、いきなり林昱珉との対戦となると苦戦を強いられそうだ。
ただ、1次リーグは球数制限が65球と厳しく、林昱珉を立てても日本に勝ち切れる保証はない。台湾が確実に1次リーグを勝ち抜くことを優先するのであれば、日本戦でエースを使わずに2位を争う韓国との直接対決で林昱珉を先発させた方が有効だ。
韓国、露骨な2位狙いは世論が許さない?
日本からの勝利にこだわってくるとしたら韓国だ。06年に4強、09年大会では準優勝と結果を残したのは昔の話。直近の3大会はいずれも1次リーグ敗退と結果が出ていないが、韓国KBOは25年に史上初の観客動員数1200万人超を記録するなど野球熱が高まっている。
11月に日本と対戦したメンバーをベースに、李政厚外野手(27)=ジャイアンツ、金慧成内野手(26)=ドジャース=と野手はメジャー組を呼べそうな状況だ。投手陣にメジャーリーガーはいないが元ドジャースで実績十分の柳賢振投手(38)=ハンファ=がサイパンでの事前キャンプメンバーに加わった。
前回大会は日本、オーストラリアに敗れ2勝2敗で1次リーグ敗退に終わったが、日本戦を捨てる覚悟でオーストラリア戦に臨んでいれば違った結果だったかもしれない。前回大会後に韓国の記者とWBCの話題になった時に「日本戦を捨てて、オーストラリア戦に全振りすれば、16強でキューバに勝って、マイアミには行けたのでは?」と聞いてみたのだが、「それは確かに正解ですが、日本に最初から『勝てない』戦略を取る監督は韓国では受け入れられないと思います」と返ってきた。「『韓日戦はじゃんけんでも負けてはいけない』というのは冗談ではなくて、本当なんです。2位で突破が現実的でも露骨なことはできません」というのが実情だという。
韓国は5日チェコと初戦を戦い、7日から日本、台湾、オーストラリアの順で3連戦となっている。試合順を考えれば、日本から無理に勝ちを狙うのは得策ではないようにも見えるが、“捨て試合”としてくる可能性は低い。左腕ということもあり、柳賢振を立ててくる可能性が高いだろう。
考えたくもないが、日本にとって最悪のシナリオは台湾も韓国も日本にチャレンジすることを選択した場合で、両チームの左腕エースを攻略する必要が出てくる。日韓台が3勝1敗で並んで失点率の勝負になるとまさかの1次リーグ敗退の可能性がないわけではない。
グループの行方左右するオーストラリア
前回大会で8強入りしたオーストラリアはディンゴの登録名で中日でプレーしたデーブ・ニルソン監督(56)が今大会も指揮を執る。リアム・ヘンドリックス投手(36)=レッドソックスFA、トラビス・バザナ内野手(23)=ガーディアンズ傘下=の参加が決定している。
初戦で台湾戦、最終戦に韓国戦が組まれており、オーストラリア戦の結果がこの組の行方を左右しそうだ。前回大会で韓国を破っており、台湾と韓国だけで2位争いをさせないだけの力は持っている。
初出場だった前回大会で中国から歴史的な初勝利を挙げたチェコは、前巨人のマレク・フルプ内野手(26)、前BCリーグ神奈川のミラン・プロコップ内野手(22)ら前回大会での活躍をきっかけに日本でのプレー機会をつかんだ選手が再び代表入り。126キロのチェンジアップで大谷から三振を奪ったオンジェイ・サトリア投手(28)も出場の見込みで人気は集めそうだが、前回より厳しい組に入ったこともあり、1勝が遠そうだ。
1位日本、5位チェコは予想がしやすいが、台韓豪の3チームは大混戦となりそうだ。プレミア12優勝の実績を持つ台湾を2位、試合順に恵まれなかった韓国を3位とし、オーストラリアを4位と予想する。

