父を黙らせた一言
私はすかさず笑顔で返しました。
「お父さん、今は令和だよ。私たちの家では家事は平等に分け合うのが当たり前なの。そのほうが楽しいし、座って待ってるだけの男なんて、今の時代モテないよ?」
空気がピキッと凍りつきましたが、夫は慌てることなく「僕、料理好きなんですよ~!」と明るくフォローし、手際よく野菜を切り始めました。
母も「助かるわぁ」と嬉しそう。
孤立無援になった父は、ブツブツ言いながら手酌で酒を飲むしかありませんでした。
小さな変化
しかし翌朝、驚くべき光景を目にしました。
あの父が、自分の食べた食器を黙って流しまで運んでいたのです。
夫の姿を見て、何か思うところがあったのでしょうか。
それは、小さな小さな変化でしたが、頑固な父のプライドよりも、家族の笑顔を選んでくれたようで胸が熱くなりました。
すぐに価値観が変わることはなくても、変化の種は確かに芽吹く。
我が家の分厚い「昭和の壁」に、少しだけ爽やかな風穴が開いた気がした瞬間でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

