NHKのドキュメンタリー番組「未解決事件 File.10 三億円事件」が10日、総合で放送され、事件の象徴として知られていた、あの「モンタージュ写真」に関する「疑惑」が伝えられた。放送後、Xでは「三億円事件」がトレンド入り。多くの視聴者が戦慄した。
「未解決事件」とは?
社会を震撼させた歴史的事件、地域に暗い影を落とす怪事件、国内・海外の多岐にわたる事件を徹底取材し、現代とのつながりや教訓を浮かび上がらせるドキュメンタリーシリーズ。2011年に「NHKスペシャル」としてグリコ・森永事件を取り上げたのを皮切りに不定期に放送されていたが、昨年10月から毎週土曜のレギュラー放送となり、八王子スーパー強盗殺人、北朝鮮による邦人拉致、大手ハウスメーカー地面師詐欺などの事件を取り上げ、検証してきた。
写真の男性の遺族「いまだに犯人だと思われている兄がかわいそう」
1968年12月10日に発生し、白昼の東京・府中市の路上で、現金およそ3億円が輸送車ごと偽の白バイ警官に持ち去られた「三億円事件」。奪われた現金は保険で補償され、死傷者も出なかったことから「憎しみのない犯罪」と呼ばれ、世間の注目を集めた。
番組は、当時捜査に関わった元警察官や目撃者、元新聞記者らを取材し、警察が何を追い、どこで行き詰まったのかを検証。事件そのものによる死者はいなかったものの、捜査の過程で一時容疑者扱いされ、実名報道された人物が、世間からの誤解や偏見に苦しんだ末に自ら命を絶っていた経緯なども紹介された。
そのなかで、特に視聴者を驚かせたのが、タイトルバックが流れたあと、放送時間が残り1分半を切ってからの場面。「時効から5年後、ある疑惑が報じられた。あのモンタージュ写真。事件と無関係の男性が、そのまま使用されたという」というナレーションが流れた後、もとになった男性の写真が並べて映し出された。
モンタージュ写真とは、複数の写真から目や鼻、口などのパーツを切り抜き、それらを組み合わせて作るものだが、番組は、あのモンタージュ写真が実在の男性の写真をそのまま使用していたと伝えた。
番組は男性の遺族を取材。その男性は事件の前年に不慮の事故で亡くなっており、遺族は写真について「何十年も見ていません。なるべく見ないようにしていましたよ」とこぼした。写真が使われた経緯について、警察から遺族への説明はなかったという。遺族は男性の墓に花を供えながら、「兄弟思いで親思いの人でした。とてもうちは貧乏な暮らしで、兄が生活を支えてくれました」と振り返り、「家族としては、本当はとても許せないです。いまだに犯人だと思われているのは、兄がかわいそうだと思う」と無念の思いをにじませた。そして最後に、「じゃあ、犯人はどこへ行ってしまったの?」と疑問を投げかけたところで放送は終わった。
この疑惑は一部のメディアですでに報じられていたが、この日の放送をきっかけに初めて知った視聴者も少なくなかった。Xには「そうだったんだ」「(本当なら)お粗末すぎる」「絶句の終わり方」「家族全員で『ええっ?!』と驚きの声を上げた」などの反響が相次いだ。また「最後の『じゃあ犯人はどこへ行っちゃったの?』って言葉が突き刺さる」という感想や、「これは有名な話だよね」「意外と知らない人もいてビックリした」という書き込みも見受けられた。

