2日に放送されたNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(総合ほか)の第86回で、庄田多吉(濱正悟)が松江中の英語教師として赴任し、初めて教壇に立った。「舞いあがれ!」(2022〜23年)以来、2作目の朝ドラで、濱が演じている庄田は、東京で教鞭を執っていた松江市出身の秀才という役どころだ。庄田は、同中の次期校長に就任することが決まった錦織友一(吉沢亮)の親友。「大盤石」と称される錦織に対し、自身を「半分弱」と自称してきたが、実は過去に2人で受けた東京での試験で、合格したのは庄田のみだった。錦織はその事実を伏せたまま地元の教師となり、庄田は東京で英語教師に。そんななか、錦織の校長就任に伴い、庄田は島根県知事の江藤安宗(佐野史郎)から後任を要請された。親友への複雑な思いから一度は断った庄田だったが、小学校の正規教員を目指し猛勉強に励む野津サワ(円井わん)との出会いが転機となった。彼女を支えるなかで翻意し、教師の道を選び直すと同時にサワへプロポーズ。サワも庄田に好意を寄せていたが、葛藤の末に彼の求婚を断った。その結果は、多くの視聴者を驚かせた。
濱は庄田がサワに惹かれた理由について、「勉強を教わるサワがふと見せる笑顔に惹かれたのかな」と役の背景に思いを馳せる。また、台本に書かれていない機微を表現した円井の演技を、「二人の関係性のポイントが想定外のところにできた」と絶賛した。
朝ドラ「ばけばけ」とは?
松江の没落士族の娘、小泉セツと、その夫で作家のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルとした物語。島根や熊本などを舞台に、怪談を愛し、何気ない日常を歩んでいく夫婦の姿をフィクションとして描く。脚本は「バイプレイヤーズ」(テレビ東京)や「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(総合)などで知られるふじきみつ彦氏。主題歌「笑ったり転んだり」をハンバート ハンバートが歌う。
濱正悟 Q&A
Q1 久しぶりの朝ドラの現場はいかがですか?
「『舞いあがれ!』も大阪制作だったので、また大阪で撮影できるのがとても楽しみでした。知っているスタッフさんがたくさんいらっしゃって初日からいろんな人にイジられ、居心地がよかったです(笑)。キャストの皆さんもフランクな方ばかり。吉沢さんに英語ゼリフの覚え方を聞いたら『常に聞き続けて反復している』と教えてくれたので、僕もとにかく反復しました。英語を練習しているとトミーさんも『あってる、あってる』という感じでニコニコしてくれて、優しかったです」
Q2 庄田を演じての感想を
「庄田と関わりの多いおサワさんは『ばけばけ』の中で一番まともと言えるぐらい芯がある方で、親友の錦織も割とツンとしている。だから、その二人にゆるく絡んでいくのはどうだろうと考えて演じてみました。素の自分自身に近い感じかもしれません。これまでは癖が強いキャラや悪い奴を演じることが多く、庄田のような役をあまりやってこなかったので新鮮でしたね。言動に悪意がない純粋でまっすぐな男ですが、『ばけばけ』の他の人物と同じように多面的に描かれていているところがいいなと思います。
印象的だったのは第83回でサワとお蕎麦を食べるシーン。庄田のセリフがとても長く、しかもワンテイクで撮るのでかなり緊張しました。実は撮影順の都合でここが初めての会話芝居だったので、この撮影までは円井さんに話しかけないと決めていたんです。そのせいでさらに緊張してしまい、お蕎麦の味は覚えていません(笑)」
Q3 庄田はどこでサワを好きになったと思いますか?
「どこで決定的に好きになったとするか監督と話し合いましたが、あまり分かりやすくしなくていいとのことでした。庄田には『人の役に立つ』『人に何か教えたい』という教育者としての気持ちがあるので、最初はそんな思いでサワに勉強を教えはじめたのだと思います。単純に女性の教師があまりいないから気になったところもあるでしょう。会話をするうちに、サワにも『ちょっと遠い存在になっているすごい親友』がいて自分と似たような感じなんだと気づく。それで勉強を教えていると、サワがふと庄田に笑顔を見せたりするんです。こういう表情やしぐさに惹かれたのかなと思いながら演じていました。
台本に『サワ、笑顔になる』とは書いていないけれど、円井わんさんが絶妙な機微の反応をくださって二人の関係性のポイントが想定外の所にできていく。それが撮影していて面白かったです。庄田のプロポーズはすごく早いと思いましたが(笑)、これはおトキさんの後押しがあってこそ。おサワさんの親友から背中を押されたらいけると思いますよね。それでも一筋縄でいかないのが『ばけばけ』です。視聴者の皆さんには、女心をわかっていない庄田にツッコみを入れつつ応援していただけたらうれしいです」
Q4 錦織とのシーンはどんな思いで演じましたか?
「錦織と庄田は親友の割に一緒のシーンが少ないんです。第4週から再会する第17週までかなり開いたのでどうやろうか少し悩みましたが、錦織の目を久しぶりに見た時に多くを語らずともこれだけでいいと感じられました。でも、帝大卒の資格試験と教員免許の件でやはり気まずさも。山橋西洋料理店で話をした時は、監督からカットがかかった瞬間に僕も吉沢さんも思わず『気まずっ』と言ったほど気まずかったです。
そんな二人の友情と、庄田の教育者としての一面もこれから描かれていきます。庄田としては胃が痛くなることが起きてしまうのですが……どうぞお見逃しなく!」

