厚生労働省は、2月13日に、全国がん登録のデータに基づき、2017年および2018年に新たにがんと診断された人の5年生存率を取りまとめ、公表しました。公表されたデータからは、部位や年齢層による生存率の差に加え、小児がんの実態なども浮き彫りになっています。単なる数字の把握に留まらず、これらをどう読み解き、日々の予防や早期発見の行動につなげていくべきか、中路先生に伺いました。
※2026年2月取材。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
【部位別】がんの5生存率は? 最新の全国がん登録集計結果
編集部
厚生労働省が発表した内容を教えてください。
中路先生
厚生労働省は、全国がん登録のデータを用い、2017年と2018年に全国で新たにがんと診断された患者さんの5年生存率を公表しました。5年生存率は、診断から5年間生存した人の割合で、2016年以降の罹患・治療・予後情報を全ての病院と指定診療所から登録し、国立がん研究センターが集計、厚生労働省が取りまとめています。15歳以上の5年生存率は、2017年は前立腺がん92.2%、女性の乳房がん88.0%と高かった一方、胃がんは64.3%、大腸がんは68.0%、肺がんは39.8%、肝および肝内胆管がんは34.1%で、膵臓がんは12.6%でした。
2018年も同様の傾向で、前立腺がんは92.5%、女性の乳房がんは88.4%と高く、胃がんは64.4%、肺がんは39.6%、肝および肝内胆管がんは34.4%で、膵臓がんは13.5%でした。
15歳未満の小児では、両年ともリンパ腫や胚細胞性腫瘍などが90%台と高く、中枢神経系腫瘍は60%台でした。おおむね横ばいの中で中枢神経系・そのほか頭蓋内・脊髄腫瘍など一部は2016年と比べ上昇しています。
一方、部位別や年齢階級別、都道府県別などで症例数が少ない場合は信頼区間が広くなりやすく、数値の解釈には注意が必要です。
リスクを最小限に。今日から実践できるがん予防と検診のポイント
編集部
がん予防と早期発見のポイントについて教えてください。
中路先生
がんは生活習慣や感染症と深く関係しており、予防できる要素も多いと分かっています。タバコは本人だけでなく受動喫煙も含めて大きなリスクになるため禁煙し、飲酒も量と頻度をほどほどにするようにしましょう。食事は主食・主菜・副菜をそろえ、野菜や果物を不足させず、塩分の摂りすぎに注意します。運動不足にならないように日常の活動量を上げ、体重は太りすぎにも痩せすぎにもならない範囲で保つことが大切です。さらに、HPVや肝炎ウイルス、ピロリ菌などの感染予防や治療にも取り組みましょう。早期発見のためには、年齢や性別に合ったがん検診を定期的に受け、身体の異常に気づいたら自己判断せず早めに受診します。家族歴がある方は検診の種類や間隔も確認しておくと安心です。気になる生活習慣があれば医療者に相談し、続けやすい形に整えることが成功のコツです。情報は公的機関など信頼できる発信元を確認しましょう。

