インフルエンザ脳症の治療法と後遺症

インフルエンザ脳症には治療法がありますか?
インフルエンザ脳症では、身体を支える基本的な治療(点滴や呼吸、体温の管理など)に加えて、脳にもとに戻らないダメージが起こる前に、できるだけ早く治療を始めることが大切だと考えられています。
検査でインフルエンザ脳症とはっきり診断された場合だけでなく、その疑いがある段階でも、安全に行える治療が早めに選ばれることがあります。具体的には、下記のような治療です。
インフルエンザウイルスを抑える薬
強い炎症を一時的に抑える薬(ステロイド治療)
免疫の働きを整える点滴治療(免疫グロブリン療法)
これらは、脳へのダメージが広がるのを防ぐことを目的として行われる治療です。
インフルエンザ脳症の治療方針はどのように決まりますか?
インフルエンザ脳症の治療は、その方の症状の重さに応じて決められます。
症状が軽い場合と、意識が低下したり、けいれんが続いたりする重い場合とでは、必要な治療や管理の方法が異なります。
基本となるのは、身体の状態を安定させるための治療です。例えば、下記のような対応を症状に合わせて行います。
呼吸や血圧を保つ
点滴で水分や栄養を補う
体温やけいれんをコントロールする
このように、そのときどきの症状や経過をみながら、治療の内容や強さを調整していくのが、インフルエンザ脳症の治療の基本的な考え方です。
インフルエンザ脳症の後遺症について教えてください
インフルエンザ脳症の罹患後の経過は、治療や医療体制の進歩により、近年は少しずつ改善してきています。
これまでの報告では、命を落とすケースや、何らかの後遺症が残るケースが一定数あることがわかっていました。ただし、すべての方に後遺症が残るわけではなく、身体に大きな障害を残さずに回復する方も多くいます。
一方で、後遺症が残る場合には、下記のような症状がみられることがあります。
手足に力が入りにくくなる、動かしにくくなる
発作(けいれん)を繰り返す
記憶や集中、考える力に影響が出る
後遺症の種類や程度には個人差が大きく、軽い症状で日常生活にほとんど支障がない場合もあれば、リハビリや長期的な支援が必要になる場合もあります。
そのため、急性期の治療だけでなく、回復後も継続して医療機関で経過をみていくことが大切です。
編集部まとめ

インフルエンザ脳症は、医療の進歩によって以前より回復する方が増えてきている一方で、今でも命に関わったり、後遺症が残ったりする可能性のある重い病気です。
そのため、もっとも大切なのは、インフルエンザにかからないこと、そしてかかっても重症化しないようにすることです。
具体的には、下記のような基本的な対策が、ご自身や大切な家族を守ることにつながります。
流行シーズン前にインフルエンザワクチンを接種する
流行期には、マスクの着用やこまめな手洗いを心がける
発熱後に「いつもと様子が違う」と感じたら、早めに医療機関を受診する
また、インフルエンザ脳症は、まれだけれど知っておくことですみやかに医療機関にかかり、重症化を防げる病気であることをぜひ覚えておいてください。
参考文献
『成人の新型インフルエンザ治療ガイドライン 第2版』(厚生労働省)
『急性脳炎(脳症を含む)サーベイランスにおけるインフルエンザ脳症報告例のまとめ』(国立健康危機管理研究機構)
『インフルエンザ脳症ガイドライン【改訂版】』(厚生労働省)

