重度の障害がある人にとっての「自立」とは
「自立」とは、「他の援助を受けずに自分の力で身を立てること」だと一般的には認識されていると思います。
しかし障害者の場合、必ずしも自立の定義がこれだけとは思いません。人によってはどうしても働けない現実があり、介護が必要な現実は変えようがないのだから、支援と制度の中で、生活が成り立つ状態を「自立」と考えてもいいのではないかと思うのです。
欲を言えば、支援を受けながらでも、自己決定し、自分の人生を自分でデザインして自分なりに社会に貢献できたらそれが一番いいでしょう。
しかし、重度の知的障害がある息子の場合、「自己決定」はかなりハードルが高いです。それならばせめて、親の手を離れても、多くの支援者を味方につけながら、経済的にも困らず生きてほしいと願っています。
先述のすでに施設で生活している、成人した障害がある子どもがいる人の話を思い出してみます。
その人のお子さんは、親元を離れて地方の施設で生活し、障害基礎年金と障害者手当で経済的にも親からの出資なしで自立しています。これも、一つの「自立」の形だと思うのです。
本人がたくさん稼ぐことができるようにするだけが自立への道ではありません。支援を前提に、生活とお金が回っている状態を目指すこと、これが、私がやるべき息子の「自立」への道だと思っています。
将来のために今知っておきたい申請のこと
「障害があってもなくても子育ては同じ」と捉える人もいるかもしれません。しかし、私は障害児育児と健常児育児は、根本的に違うと思っています。目指すところが違うのだから、考え方も価値観も変えて臨まなければなりません。
障害年金を将来もらうときに、1級、2級と障害の程度で差がつくように、大人になってからの各種障害福祉サービスを受けるためには、18歳で「障害支援区分」の認定調査というものもあります。どちらも、障害の程度が重い、できることが少ないと思われるほど、手厚い支援が受けられるようになります。
親として、子どもの能力には期待したいし、「もっとできる」と親の欲目も出てくるところです。
しかし、子どもの将来を考えて「障害が重い」「できないことが多い」と「重く」書くことは愛情でもあります。
「できる子に見せたい」という親の葛藤もありますが、申請では「できない現実」を書く重要性を認識しておく必要があります。親が軽く書くと、困るのは将来の本人なのです。
そして、重度知的障害がある人にとっての自立とは、「支援がある」「お金が切れない」「生活が続く」ということ。
親が元気なうちにこれらの条件を整えられるように、息子が小学生の今から、親なき後を支える土台をつくっていきたいと思います。
