インフルエンザ脳症が疑われるときの病院での対応

インフルエンザ脳症の初期症状がみられるときは病院でどのような対応がとられますか?
病院ではまず全身状態と意識レベル、呼吸や循環の安定性を優先して評価します。呼吸が不安定なときは酸素投与や気道確保を行い、必要に応じて集中治療室(ICU/PICU)での管理が検討されます。そのうえで、インフルエンザ脳症かどうかを判断するために、血液検査(炎症反応、電解質、肝腎機能など)や髄液検査、頭部CT・MRI、脳波検査などが行われます。
参照:『インフルエンザ脳症ガイドライン 【改訂版】』(厚生労働省)
インフルエンザ脳症の治療法を教えてください
全身状態を守る治療と脳のダメージを減らす治療をできるだけ早く始めることが重要です。まず、呼吸や血圧、脈拍、尿量などをしっかり管理し、必要に応じて酸素投与や点滴、場合によっては人工呼吸管理などを行って、命を守るための支持療法を行います。
同時に、けいれんがあれば静脈注射の抗けいれん薬で早期に抑え、脳の腫れ(脳浮腫)を抑える薬や輸液の調整を行います。そのうえで、抗インフルエンザ薬(タミフルなど)を投与し、病型や重症度に応じて、メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法や免疫グロブリン大量療法などの特異的治療が検討されます。これらを行っても改善が不十分なとき、施設や症例によっては脳低温療法や血漿交換療法などの高度な治療が追加される場合もありますが、効果はまだ研究段階とされています。
参照:
『インフルエンザ脳症の新しい治療法について』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『インフルエンザ脳症ガイドライン 【改訂版】』(厚生労働省)
インフルエンザ脳症には後遺症はありますか?
発症した子どものうち、4分の1前後に何らかの後遺症がみられると報告されており、死亡例も含めると3割程度が死亡し、2~3割程度に後遺症、後遺症なく回復するのは4割ほどとするデータもあります。後遺症は、知的障害・発達の遅れ、てんかん(けいれん発作を繰り返す状態)、四肢麻痺・片麻痺などの運動障害、高次脳機能障害(記憶力や注意力の低下、学習障害)などが挙げられ、長期のリハビリテーションや継続的な医療・療育支援が必要になることがあります。
参照:
『インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究(総括研究報告書)』(厚生労働科学研究成果データベース)
『急性脳症の全国実態調査』(厚生労働科学研究補助金)
編集部まとめ

インフルエンザ脳症は、インフルエンザ発症から短時間で意識障害やけいれん、異常行動が現れる重い合併症です。特に高熱+呼びかけに反応しにくい・意味不明な言動・けいれん・繰り返す嘔吐などは緊急受診のサインで、発熱から1日以内でもためらわず受診が重要です。一方で、水分がとれて意識がはっきりしている場合は自宅で経過観察も可能ですが、様子が急に変わることがあるため、「いつもと違う」と感じたら早めに医療機関に相談してください。
参考文献
『インフルエンザ脳症について 』(荒尾市立有明医療センター)
『インフルエンザ脳症から子どもを守るために。知っておきたい症状と家庭での注意点』(愛媛県小児科医会資料)
『徳島県医師会の小児科相談 』( 徳島県医師会Webサイト)
『インフルエンザ脳症ガイドライン 【改訂版】』(厚生労働省)
『インフルエンザ脳症』(佐久総合病院薬剤部)
『北海道における小児期インフルエンザ脳炎・脳症の発症状況』(厚生科学研究費補助金分担研究報告書)
『インフルエンザ脳症の新しい治療法について』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
『インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究(総括研究報告書)』(厚生労働科学研究成果データベース)
『急性脳症の全国実態調査』(厚生労働科学研究補助金)

