尚子は分割での弁償に応じ、謝罪して去った。以前の親密さは消えたが、美智の心には平穏が戻る。新調したテレビに保護パネルを貼り、笑い合う家族。平和は守るものだと学び、美智は前を向いて歩き始める。
友人の謝罪を素直に受け入れる
結局、尚子は折れました。
照也が提示した「月々1万5千円の10回払い」という条件で、公正証書に近い形の示談書を作成することに同意したのです。
後日、尚子がわが家を訪れました。
以前のような傲慢な態度はなく、どこか小さく見えました。
「美智……本当に、ごめんなさい。甘えてた。あなたがいつもニコニコしてるから、何でも許してもらえるって、勝手に思い込んでたの」
彼女の手元には、第1回分の現金と署名済みの書類が握られていました。
「駆にも厳しく言い聞かせたわ。……もう、前みたいには戻れないかもしれないけど、お金は最後まできちんと払うから」
「……分かった。待ってるね」
私はそれ以上、彼女を責めませんでした。
彼女が自分の過ちを認め、責任を取るという“親としての背中”を駆くんに見せること。それが、何よりの解決だと思えたからです。
友人とは以前と違う距離感に
その後、尚子とは学区内で会えば挨拶をする程度の距離感になりました。
以前のように親密ではありませんが、それで十分だと思っています。
本当の友人は、相手の好意を搾取したりしないものだと学びました。
数週間後、ようやく我が家のリビングに新しいテレビが届きました。
今度は照也の提案で、液晶保護パネルも設置しています。
「対策してなかったのが悪い」という言葉に納得したわけではありません。
でも、「大切な家族の空間を守るために、できることはしておこう」と二人で話し合った結果です。
「パパ、テレビついた! 映画見れる?」
「うん、見れるよ!かんちゃん、えまちゃん、今度はもっと大事にしようね」
娘たちがうれしそうに画面を見つめています。
その横顔を見て、私はようやく心の重荷が取れたような気がしました。

