特別養護老人ホームなどの介護施設を希望しても、すぐに入所できず待機の状態が続くことは珍しくありません。そのような状況で、「在宅介護が限界に近いのに、いつまで待てばいいのか」と、先行きの見えない不安を抱えている方もいるのではないしょうか。
本記事では介護施設の待機期間について以下の点を中心に紹介します。
介護施設で待機期間が発生する原因
介護施設の待機中にできること
介護施設に入居できる優先順位
介護施設の待機期間について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修社会福祉士:
小田村 悠希(社会福祉士)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
介護施設で待機期間が発生する理由

介護施設で待機が発生する主な原因は何ですか?
介護施設で待機が生じる背景には、いくつかの要因が重なっています。
主な原因の一つが、費用負担の少なさです。特別養護老人ホームは入所時の一時金が不要で、月額費用も抑えられている傾向にあるため、利用を希望する方が集中しやすくなっています。
加えて、終の棲家として長期入所する利用者の方がいることから、空きが出にくい点も待機を長引かせる要因です。
2025年6月に内閣府から発表された『令和7年版 高齢社会白書』が示すとおり、高齢の方の人口の増加に伴い、要介護・要支援認定を受ける方は年々増えています。一方で、介護職員や施設そのものは不足しており、なかでも都市部では高齢化の集中と人材不足が重なり、待機問題が深刻化しています。
参照:『令和7年版 高齢社会白書』(内閣府)
上記のような需要と供給の不均衡が、現在の待機発生の主な要因といえるでしょう。
待機期間が長くなりやすい介護施設を教えてください
介護施設のなかでも、特別養護老人ホームは、入居までに時間がかかりやすいとされています。
特別養護老人ホームは利用料金が低く設定されており、年金の範囲内で入居しやすい施設とされています。看取りまで対応できるため、入居後は長期間利用される方も多い傾向にあり、空きが出にくいとされています。
また、入居は申し込み順ではなく、要介護度や介護者の有無など優先度で判断されるため、必要度が低い利用者の方は待機期間が長くなりやすいとされています。
介護施設の入所までの待機期間は平均どのくらいですか?
2025年4月に厚生労働省が発表した『特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度調査)』によると、要介護3以上の方を対象とした特別養護老人ホームの入所申込者は全国で約20.6万人にのぼるとされています。
入居までにかかる期間は地域差が大きく、地方では早く案内される場合もありますが、都市部では希望者が集中するため、1~2年程度の待機は珍しくありません。なかには2~3年以上、長いケースでは数年単位で待つ状況も見られます。
このように待機期間が長期化しやすいため、特別養護老人ホームなどへの入所を検討する際は、できるだけ早い段階で申し込みを行っておくとよいでしょう。
参照:『特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和7年度調査)』(厚生労働省)
介護施設にすぐ入所できないときの主な対処法

介護施設の待機中に利用できる介護サービスを教えてください
介護施設の入居を待つ間は、在宅での介護が続くため、家族の負担が大きくなりがちです。そのような待機期間に活用できる主なサービスには、以下の選択肢があります。
【訪問介護(ホームヘルプサービス)】
介護職員が自宅を訪問し、食事や、入浴、排泄などの身体介護、掃除や、洗濯、調理といった生活援助を行います。条件によっては介護保険が適用されるため、費用負担を抑えやすく、利用者の方だけでなく家族の負担軽減にもつながります。
【通所介護やショートステイ】
デイサービスを利用すれば、日中の見守りや入浴支援を受けることができ、短期入所(ショートステイ)を組み合わせることで一時的に介護から離れる時間を確保できます。
【有料老人ホームへの一時入居】
入居待ちが長引く場合は、特別養護老人ホームよりも入居しやすい有料老人ホームを一時的に利用する方法もあります。介護付きの施設であれば、要介護度が高い利用者の方でも生活しやすい環境が整っています。
ショートステイは待機中にどのように活用できますか?
ショートステイは、要支援・要介護認定を受けた方が、数日から最長30日まで介護施設に短期入所できるサービスです。特別養護老人ホームなどの入居待ち期間中に利用することで、在宅介護による負担を和らげる手段として活用されています。
施設では24時間体制の介護が受けられるため、介護者が体調を崩した場合や、冠婚葬祭、仕事などで家を空ける必要があるときに役立ちます。
また、一定期間ショートステイを利用し、いったん自宅に戻ってから再度利用する形を繰り返すことで、入居待ちの時間を調整できる場合もあります。
受け入れ条件は施設ごとに異なりますが、介護目的であれば要介護1~5、介護予防であれば要支援1~2が主な対象です。併設型と独立型の施設があり、有料老人ホームは介護保険の対象外でも利用できるケースがあります。
このように、ショートステイは家族の休息確保と被介護者が過ごしやすい生活を両立させる、待機期間中の選択肢といえるでしょう。
複数の介護施設へ同時に申し込むことは可能ですか?
介護施設への入居を検討する際、複数の施設へ同時に申し込めます。例えば、特別養護老人ホームは空きが出る時期を予測しにくいため、複数の施設に登録して待機する方法が現実的とされています。また、都市部のように希望者が多い傾向にある地域では、選択肢を増やしておくことで入居の機会を逃しにくくなります。
希望エリアを広げて探すこともおすすめです。地域密着型以外の特別養護老人ホームであれば、居住地に関係なく申し込みができるため、市区町村や県をまたいで検討することで、待機者が少ない施設に出会える可能性があります。
ただし、住み慣れた地域から離れることで、利用者の方に心理的な負担が生じる場合もあるため、環境面への配慮は欠かせません。
なお、第一希望の施設の待機登録を継続しながら、入居までの間に有料老人ホームなどへ一時的に入居するケースもあります。いずれかの施設への入居が決まった場合は、ほかの施設へ必ず登録取消の連絡を行いましょう。

