汗の量が多く日常生活に支障を感じる「腋窩多汗症」(脇の下の多汗症)。ボトックス注射による治療が注目されていますが、効果の持続期間や安全性について不安を抱く人も多いようです。そこで、emiスキンクリニック松濤の中崎恵美先生に、腋窩多汗症とその治療について詳しく聞きました。
※2025年11月取材。

監修医師:
中崎 恵美(emiスキンクリニック松濤)
埼玉医科大学を卒業後、東京医科大学皮膚科に入局。都内や埼玉の皮膚科・美容皮膚科で経験を積み、北里東洋医学研究所(現・北里大学北里研究所病院 漢方鍼灸治療センター)漢方研修を修了。2016年にemiスキンクリニック松濤を開院。日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本レーザー医学会認定医。
腋窩多汗症とは?
編集部
腋窩多汗症とはどんな病気ですか?
中崎先生
汗は体温調節に必要な生体反応ですが、腋窩多汗症は、体温調節に必要な範囲を超えて脇の下から汗が過剰に分泌される状態です。気温や運動に関係なく発汗が続き、衣服が濡れるほどになる人もいます。本人はもちろんのこと、周りの人も気になってしまうなど、生活の質に影響を及ぼすケースも多く見られます。
編集部
原因にはどんなものがありますか?
中崎先生
明確な原因はわかっていませんが、自律神経のバランスの乱れやストレス、緊張などが関係していると考えられています。思春期に発症するケースが多く、性別に関係なく症状が現れます。体質的な要因もあり、ご家族にも同じ症状がある人が多いのが特徴です。
編集部
腋窩多汗症の治療にはどのようなものがありますか?
中崎先生
治療法は大きく分けて3つあります。まずは、制汗剤や塩化アルミニウム外用薬を使う保存的治療です。軽度の人ならこれで十分改善することもあります。次に、薬によって発汗を抑える内服治療。そして、汗を出す指令を伝える交感神経の働きを一時的に抑えるボトックス注射です。重症例では手術(交感神経遮断術)が選択されることもありますが、現在は安全でダウンタイムの少ないボトックス注射を希望する人も増えています。
ボトックスによる治療とは?
編集部
ボトックス注射はどんな治療ですか?
中崎先生
ボトックス注射は、発汗を促す神経伝達物質(アセチルコリン)の働きを一時的にブロックし、汗の分泌を抑える治療です。施術時間は10~15分ほどで、治療後すぐに普段通りの生活ができます。
編集部
効果はすぐに現れますか?
中崎先生
多少の個人差はありますが、注射後2〜3日くらいから徐々に汗の量が減り始め、4週間ほどで最大の効果が得られるとされています。
編集部
どのくらいの期間、効果が続きますか?
中崎先生
効果の持続期間は一般的に6カ月程度で、徐々に発汗が戻ります。汗腺を破壊するわけではないため、安心して定期的に治療を受けられます。
編集部
繰り返しおこなっても問題はないのでしょうか?
中崎先生
問題ありません。ボトックスは体内で代謝されていくため、体に蓄積する心配はありません。副作用もほとんどなく、安全性の高い治療です。

