パーキンソン病を発症すると姿勢反射障害になる原因
人の身体には、倒れそうになったときに倒れないように姿勢を反射的に直す反応がもともと備わっています。しかし、パーキンソン病の方ではそういった反応がうまく働かず、転びやすさにつながる場合があります。以下では、パーキンソン病の場合に姿勢反射障害になる原因について解説します。
脳の基底核関連のバランス維持がそこなわれる
パーキンソン病では、姿勢やバランスの調整に欠かせない「基底核」の働きが低下します。基底核の機能が弱まることで重心のコントロールが難しくなり、バランスを崩したときに踏ん張る力が十分に出せなくなります。そのため、方向転換が遅れたり、予期せぬ揺れに対応できず転倒しやすくなったりします。こうした症状がみられる場合には、神経内科での評価が必要となります。
視覚によるバランス制御が難しくなる
パーキンソン病では、視覚情報を処理する速度が遅くなったり、空間の位置関係を把握する力(視空間認知)が低下したりすることがあります。こうした変化が生じると、階段や段差を判断するのに時間がかかったり、暗い場所での動作が急に不安定になったりするなど、日常動作に支障が出ます。視覚から得られる情報をもとに姿勢を安定させることが難しくなるため、姿勢反射障害がさらに悪化することがあります。
頭の位置などを感知する能力が低下する
姿勢の維持には、耳の奥にある前庭器官が頭の傾きや動きを感知する働きと、筋肉や関節の動きを感じ取る固有受容感覚が欠かせません。パーキンソン病では、これらの感覚の統合がうまくいかなくなり、身体の位置を正確に把握しにくくなります。その結果、体がどちらかに傾いても自覚しづらく、無意識のうちにバランスを崩してしまうことがあります。このような症状が続く場合には、神経内科を受診し、必要に応じてリハビリテーション科でのバランストレーニングが推奨されます。
「パーキンソン病の姿勢」についてよくある質問
ここまでパーキンソン病の姿勢などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病の姿勢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
パーキンソン病のリハビリにおいて禁忌事項があれば教えてください。
神宮 隆臣 医師
パーキンソン病のリハビリでは、基本的に「避けるべき運動が多い」というわけではありませんが、症状や病期に応じて注意が必要な点はいくつかあります。まず、転倒リスクが高い場合には、不安定な姿勢での無理な運動や急激な方向転換は避けるべきです。また、極端に激しい運動を突然始めることは、筋肉や関節に過度な負担がかかり、かえって症状を悪化させる可能性があります。
さらに、薬の効果が切れやすい時間帯(オフの時間)には動きが不安定になりやすいため、その時間帯のトレーニングは慎重に行う必要があります。毎日の体調に合わせて運動強度を調整し、疲労が強い日は無理をしないことが大切です。どの程度の運動が適切か迷う場合には、医師や理学療法士に相談し、安全に継続できるプログラムを組んでもらうと安心です。

