無言の協力
見ていられなくなった私は、黙ってしゃがみ込み、彼女と一緒にシールを拾い始めました。
とっさのことで言葉は出ませんでしたが、手伝ってあげたいという気持ちになったのです。
そうして黙々と散らばったシールを拾い集めました。
最後の一枚を棚に戻したとき、彼女は私に向かって軽くお辞儀をして「Sorry」とつぶやきました。
言葉を超えた感謝
そして店を出る直前、振り返った彼女の顔には満面の笑みが浮かんでいました。
私に向かって「Thank you!」と言うと、彼女は先に店を出た青年を追いかけて、軽やかに人混みの中へ消えていきました。
その一言が、胸にじんわりと沁みました。
言葉も、国籍も、文化も違います。
住む場所や文化が違っても、誰かが困っているときに手を差し伸べる気持ちに、説明はいりません。
考えるより先に体が動いただけでしたが、「Thank you!」と言ってくれたことが印象深かったです。
推しのグッズより大切な何かを、思いがけず受け取った午後でした。
あの女性の笑顔と感謝の言葉は、推しグッズ以上の宝物です。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

