電話の後の疲労感
電話を切った後、どっと押し寄せる倦怠感。まるで見えない掃除機で、体中のやる気を吸い取られたような感覚です。
「亜紀、顔色悪いよ?」
ソファーで本を読んでいた士郎さんが、心配そうに覗き込んできました。
「……うん、ちょっと疲れちゃったかな。聡里の愚痴聞くのって、エネルギー使うんだよね」
「また愚痴? 亜紀は優しいのがいいとこだけど、あんまり抱え込みすぎるなよ。自分の時間がなくなるだろ」
士郎さんの言葉に、胸の奥がチクリと痛みました。そう、自分の時間。最近、聡里と話した後は、楽しみにしていた読書も、士郎さんとの会話も、何も手につかなくなる。ただ、どす黒いモヤモヤが胸に溜まって、ため息ばかりが出てしまう。
「うん…でもまあ、毎日じゃないし大丈夫。今日はもう寝るよ」
私は自分に言い聞かせるように笑いました。でも、その時の私はまだ気づいていなかったんです。友情という名の絆が、いつの間にか私を縛り付ける鎖に変わっていたことに―――。
あとがき:優しさという名の「心の穴」
「友達なんだから助けなきゃ」という責任感、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。第1話では、加害者側に悪気がない(ように見える)からこそ拒絶できない、現代女性のリアルな葛藤を描きました。
亜紀が感じている「見えない掃除機で吸い取られるような倦怠感」は、心の防衛本能が発するSOSです。優しさが、自分を傷つける刃になっていないか。まずはその違和感に気づくところから、物語は動き出します。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

