●低年齢のSNS利用は対策急務
この20年間でスマートフォンが普及し、青少年への対応は後手に回っている。上沼氏はグリーやミクシィなど国内のSNS事業者が消えて自主規制できなくなったことも背景で、GAFAが中心となっている今、日本のSNS対策は滞っているという。
特に急務だと訴えるのが、低年齢層のSNS利用で送信時のトラブルだ。誹謗中傷の加害者になったり、悪ふざけのつもりの行為が一生ウェブ上に残るデジタルタトゥーになったりと常にリスクがある。「もう長い間、送信系の技術的コントロールが必要と言い続けています。啓発だけでは厳しいかもしれません」。
親世代が技術を理解できないなかで、子ども同士がSNS上のモラルやルールを教え合うなど市民総がかりの取り組みが必要だと訴える。通信の歴史を肌で感じ、功罪を知る上沼氏だからこそ、伝えられることがある。かつての同期が多くいる「霞が関」に向けて、外部から働きかけ続ける。
【プロフィール】
うえぬま・しの 東京大学法学部卒、セントルイス・ワシントン大学でLL.M取得。IT・サイバー法務を中心に活動し、政府の有識者委員や安心ネットづくり促進協議会の創立時からのメンバーとして青少年のネット利用環境の整備に注力。『子どもとケータイ』(共著、リックテレコム)など著作を通じた啓発活動にも取り組む。

