●正解知らない領域が面白い
生成AIの登場以降、社会は劇的に変化し続けている。業務効率化が進む中、柿沼氏は、弁護士の役割について、「複雑な事案を解きほぐす上流工程と、最終的な質を担保する最終工程はまだ人間の担うべき領域」と語る。
次なるチャレンジとして、企業の「デジタルトランスフォーメーション(DX)支援」を挙げる。スタートアップ支援で培ったスピード感と、最先端技術への法的知見。これらを融合させ、企業の変革を支えることに新たなやりがいを見出している。「企業のDXは、単なる業務効率化ではない。国力の向上に直結する課題です」
異なる領域に飛び込んでチャレンジし続ける自身の姿勢を「実は飽きっぽいところがありまして」と笑う。「私の場合、『儲かりそうだから』という理由ではモチベーションが続きません」。たとえ知識が十分でなくても、不安を感じながらでも、手探りで進んできた結果が今に繋がっている。「誰も正解を知らない領域で面白いことをやりたい」という柿沼氏の挑戦はこれからも続く。
【プロフィール】
かきぬま・たいち 京都大学法学部卒業後、2000年に弁護士登録。ディープテックスタートアップ法務、AI・データ法務、知的財産を専門とし、2015年にSTORIA法律事務所を共同設立。経済産業省「AI・データ契約ガイドライン」検討会委員などを歴任。専門領域に関する著書・講演も多数。

