ヨハネス・フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》 1665 年頃 44.5×39.0 cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
本作が日本で公開されるのは、2012年の「マウリッツハイス美術館展」以来、14年ぶりとなります。展覧会には約120万人が訪れ、フェルメールの魅力があらためて日本に浸透しました。
そして2026年、大阪にて公開されることとなった《真珠の耳飾りの少女》。本作を所蔵するマウリッツハイス美術館のマルティネ・ゴッセリンク館長は、「この《少女》の旅は、日本の皆さまに彼女を送り届けられる、おそらくは最後となるであろう特別な機会です」と語っています。
『フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日』では本作に加え、フェルメール最初期の作品《ディアナとニンフたち》や同時代のオランダ絵画の名品も展示。この記事では見どころを紹介するので、展覧会を楽しむためにいち早く予習していきましょう。
見どころ①フェルメールの傑作《真珠の耳飾りの少女》が日本で見られる!
フェルメールは17世紀オランダを代表する画家のひとりで、日常生活のワンシーンを静けさとともに描き出した画家として知られています。彼の最高傑作のひとつとして特に人気があるのが、《真珠の耳飾りの少女》です。
マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
本作は「門外不出」とされ、他館に貸し出されることはめったにありません。今回は所蔵館のマウリッツハイス美術館が改修工事で臨時休館することにともない、日本での公開が実現するとのことです。
絵画は「少女がこちらを振り向くだけ」という極めてシンプルな構成。ですが、唇や瞳にはツヤっぽい上品な光が宿り、見る人の心をとらえて離しません。
光とブルーが印象的な本作はフェルメールらしさを存分に味わえる一方、モデルは一体誰なのか、いつ描かれたのか、たしかなことはわかっておらず謎に包まれています。ミステリアスな魅力で世界中のファンを翻弄し続ける彼女が、2026年に奇跡の来日を果たします。
見どころ②フェルメール初期の宗教画《ディアナとニンフたち》も来日!
ヨハネス・フェルメール 《ディアナとニンフたち》1653-1654 年頃 97.8×104.6 cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
フェルメールは日常の場面を切り取った画家として知られていますが、画業の初期には違うジャンルに挑戦していました。そのひとつが、今回来日する《ディアナとニンフたち》です。本作はフェルメール初期の宗教画で、神話に題材を取った唯一の作品です。
本作に描かれるのは、ローマ神話の月と狩猟の女神ディアナが、侍女たちのニンフ(森の精)に足を洗わせている場面。神話を主題としつつも、日常的な何気ないシーンを取り上げたあたりに、フェルメールらしさがうかがえるのではないでしょうか。
なお、1876年にマウリッツハイス美術館が入手したときは、別の画家ニコラース・マースの偽の署名が入っており、マースの作品と思われていたそう。19世紀末の修復で、「JVMeer」という署名が見つかり、当時ほとんど知られていなかったフェルメールの作品とされました。
同館はフェルメール作品を3点所蔵しています。そのうち2点が本展のために来日。オランダが世界に誇る傑作を国内でまとめて鑑賞できる、またとない機会です。
見どころ③マウリッツハイス美術館の名品でたどる17世紀オランダ絵画
17世紀はオランダ美術の黄金期とされ、フェルメールのほかにもさまざまな画家が活躍しました。この時期の作品が特に充実しているマウリッツハイス美術館のコレクションから、本展に合わせて名品たちが来日します。
ヤン・ステーン《老いが歌えば若きが笛吹く》 1663-1665 年頃 83.8×91.9cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
たとえば、オランダの風俗画を代表する画家ヤン・ステーン。《老いが歌えば若きが笛吹く》には、フェルメールとは真逆で賑やかな室内の様子が描かれています。
当時のオランダでは警句や教訓を含んだ絵画も人気があり、本作も、そのひとつ。タイトルの「老いが歌えば若きが笛吹く」は広く知られていたことわざでもあり、「子どもは大人の真似をするので、大人は常に正しい手本を示さなければならない」というメッセージが込められています。
パウルス・ポッテル《水に映る牛》1648 年 43.4×61.3cm 油彩、板 マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
《水に映る牛》などの代表作があるパウルス・ポッテルは、動物の絵を得意とした画家。スケッチ帖を持ち歩いて動物を個別にスケッチし、あとで統合して1枚の絵画に組み立てたそうです。
ポッテルは結核により28歳で夭逝するまでに、100点近い作品を残しました。19世紀までは、フェルメールよりも有名だったそうです。
マリア・ファン・オーステルウェイク《装飾的な壺の花》1670-1675 年頃? 62.0×47.5cm 油彩、カンヴァス マウリッツハイス美術館 © Mauritshuis, The Hague
17世紀オランダでは女性画家も活躍。その代表的な画家がマリア・ファン・オーステルウェイクで、花の絵画で国際的な名声を獲得しました。神聖ローマ皇帝、フランス国王、イギリス国王などにも作品を求められていたそうです。
展覧会が開催されるのは、大阪中之島美術館のみ。他地域への巡回はありません。門外不出の作品にも出会える機会を逃さず、大阪へと足を運んでみてはいかがでしょうか。
