禁煙したいと思っても、「本当にやめられるのか?」「外来では何をするのか?」と不安を感じる人は少なくありません。禁煙外来では、ニコチン依存の程度を評価し、薬やサポートを組み合わせて無理なく禁煙を目指します。具体的な診療内容や通院の流れについて、用賀けやき内科 呼吸器内科・アレルギー科の藤原先生に教えてもらいました。
※2026年3月取材。

監修医師:
藤原 赤人(用賀けやき内科 呼吸器内科・アレルギー科)
2007年4月東京医科大学病院初期臨床研修医、2009年4月東京医科大学病院呼吸器内科入局、2017年4月千葉徳洲会病院呼吸器科、2018年2月TMGあさか医療センター呼吸器内科、2021年8月彩の国東大宮メディカルセンター呼吸器内科、2023年5月呼吸器・アレルギー専門クリニックで院長として勤務。2025年9月用賀けやき内科 呼吸器内科・アレルギー科を開院。日本内科学会 総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医、東京医科大学医学博士。
禁煙外来とは? 何を診てもらえるのか?
編集部
そもそも禁煙外来とは、どのような診療を行うところなのでしょうか?
藤原先生
禁煙外来は、自分の意志だけでは喫煙をやめられないとき、医学的にサポートする専門外来です。喫煙を単なる習慣ではなく、ニコチン依存症という病気として捉え、治療を行うのが特徴です。診察では、喫煙歴や本数、過去の禁煙経験、現在の体調などを確認し、依存度を評価します。その上で、薬物療法や行動面の支援を組み合わせ、無理なく禁煙を続けられるようサポートしていきます。
編集部
初診では、どのようなことをチェックしていますか?
藤原先生
喫煙状況の詳細な聞き取りに加え、ニコチン依存度の評価を行います。質問票を用いて「どれくらい依存が強いか」を確認するほか、呼気中の一酸化炭素濃度を測定します。これは、体内にどの程度喫煙の影響が残っているかを知るためです。また、持病や服用中の薬を確認し、安全に禁煙治療が行えるかを判断します。
編集部
たばこをやめたいという意志の強さも見られるのでしょうか?
藤原先生
はい、見ます。治療を始めるにあたり、とても重要なポイントですね。禁煙に対する気持ちや不安、過去に挫折した理由などを丁寧に聞き取ります。なぜやめたいと思ったのか、どんな場面で吸いたくなるのかを共有することで、現実的な対策を一緒に考えることができるようになります。
編集部
そのほか、初診で聞かれることはありますか?
藤原先生
たばこに代わるような趣味はあるのかということも聞きます。代替となる趣味があると、禁煙を成功しやすくなるからです。
編集部
健康状態のチェックも行うのでしょうか?
藤原先生
もちろん行います。喫煙はさまざまな病気のリスクを高めるため、呼吸器症状なども確認します。必要に応じて生活習慣病の有無についても聞き、結果によっては、血圧検査や血液検査などを追加することもあります。
編集部
禁煙治療は、たばこをやめることだけが目的ではないのですね。
藤原先生
その通りです。単にたばこをやめることだけがゴールではありません。「禁煙は将来の健康を守るための第一歩だ」と本人の中で位置づけてもらうことも、治療の目的の一つとなっています。
禁煙外来の治療とは?
編集部
禁煙外来では、どのような治療が行われますか?
藤原先生
禁煙外来の治療は、主に薬物療法とカウンセリングを組み合わせて行います。ニコチン切れによるイライラや集中力低下などの離脱症状を和らげる薬を使いながら、喫煙習慣そのものを見直していきます。自力で行う禁煙と違い、症状を抑えながら進められる点が大きな特徴です。
編集部
どのような薬が使われるのでしょうか?
藤原先生
代表的な治療薬は、貼り薬のニコチンパッチと飲み薬のバレニクリンです。これらは、脳がニコチンを欲しがる状態を徐々に弱める働きがあります。どちらの薬を使うかは、患者さんの依存度や体調、生活スタイルに合わせて選択します。一般に、バレニクリンの方が効果は高い反面、めまい、眠気、意識障害などを引き起こす可能性があり、服用期間中は車を運転できません。そのため、車を運転する必要のある人は、ニコチンパッチを利用します。
編集部
通院はどれくらい必要ですか?
藤原先生
一標準的な通院頻度は約3カ月間で5回程度です。定期的に通院することで、禁煙が順調に進んでいるかを確認し、困り事があれば早めに対処します。途中で不安が強くなったり、吸いたくなったりした場合でも、相談できる場があることにより、禁煙が継続しやすくなります。
編集部
治療中に失敗してしまった場合は、どうなりますか?
藤原先生
一時的に喫煙してしまっても、そこで治療が終わるわけではありません。吸ってしまった場合、なぜ吸ってしまったのかを振り返り、対策を立て直します。禁煙治療は一度で成功する人ばかりではなく、試行錯誤を重ねながら続けていく人も少なくありません失敗も含めて支援していくので、困ったことがあったら、いつでも医師や看護師に相談してほしいと思います。

