腎臓の状態によって、同じ量のプロテインを摂取しても身体への影響は大きく変わります。健康な腎機能を維持している方にとっては適切な範囲での摂取は問題ありませんが、既に腎機能に何らかの問題を抱えている方では注意が必要です。ここでは、健康状態による影響の違いを詳しく見ていきましょう。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
健康な人とそうでない人で異なるプロテインの影響
プロテインが腎臓に与える影響は、摂取する方の健康状態によって大きく異なります。健康な腎機能を持つ方と、既に腎臓に何らかの問題を抱えている方では、同じ量のプロテインを摂取しても身体への影響は同じではありません。
健康な腎機能を持つ方への影響
健康な腎臓を持つ方であれば、適切な量のプロテイン摂取は基本的に問題ありません。複数の研究において、健常者が1日あたり体重1キログラムあたり1.5から2グラム程度のタンパク質を摂取しても、腎機能に悪影響を及ぼさないことが示されています。むしろ、筋肉量の維持や増加、運動後の回復促進といった利点が得られます。ただし、これはあくまで適切な範囲内での摂取であり、極端に大量のプロテインを摂取すれば、健康な方でも腎臓に負担がかかる可能性があります。また、水分摂取が不足していると、尿素などの老廃物が濃縮され、腎臓への負担が増すため、プロテインを摂取する際は十分な水分補給も重要です。プロテインが腎臓に負担をかけるのは“プロテインだから”ではなく、総タンパク摂取量が過剰になったり、もともと腎機能が低い場合にリスクが高まることは忘れてはいけません。
腎機能低下や腎疾患を持つ方への影響
慢性腎臓病や腎機能低下がある方では、タンパク質の過剰摂取は病態を悪化させるリスクが高まります。腎機能が低下すると、老廃物を効率よく排泄できなくなり、体内に尿素やクレアチニンなどが蓄積しやすくなります。このような状態でプロテインを過剰に摂取すると、腎臓にさらなる負荷がかかり、腎機能の低下が加速する可能性があります。慢性腎臓病の方には、通常、医師や管理栄養士によってタンパク質の摂取量が制限されます。制限される量は腎機能の低下具合(ステージ)や年齢によって大きく異なります。過度な制限は筋肉量の低下(サルコペニア)を招く恐れもあるため、現在は患者さん一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの栄養指導が行われています。
腎機能に不安がある方は、プロテインを摂取する前に必ず医師に相談することが重要です。
まとめ
プロテインは、適切に使用すれば筋肉の維持や健康管理に役立つ有用な栄養補助食品です。しかし、腎臓への負担、デメリット、人工甘味料の影響など、注意すべき点も存在します。健康な方であれば適量の摂取は問題ありませんが、腎機能に不安がある方は医師に相談することが不可欠です。また、プロテインに頼りすぎず、バランスの取れた食事と生活習慣を心がけることが健康維持の基本です。自分の身体の状態を定期的にチェックし、適切な摂取量を守りながら、安心してプロテインを活用してください。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」
厚生労働省「食品添加物」

