乳がんの手術は早期治療が中心であり、多くの患者さんが術後に日常生活へ戻ります。本記事では、乳がんの手術後に行われる治療について解説します。術後の不安や疑問を解消し、安心して日常生活を送るための情報をまとめました。
※この記事はメディカルドックにて『「乳がんの術後」は身体にどんな変化が現れるかご存知ですか?注意点も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
武田 美貴(医師)
平成6年札幌医科大学を卒業し、札幌医科大学放射線科に入局。画像診断専門医となり、読影業務に従事。その後、新たな進路を模索するため、老年医療や訪問医療、リハビリテーションなどを学ぶ。現在は、一周回って画像診断で母校に恩返しをする傍ら、医療事故の裁判では、患者に寄り添う代理人を、画像診断と医学知識の両面でサポートすることをライフワークとしている。
乳がんの手術後に行われる治療

乳がんの手術後、病理検査の結果に基づき追加の治療が検討されます。術後治療の内容は、腫瘍が非浸潤がんだった場合と浸潤がんだった場合で大きく異なります。それぞれの場合について、一般的な治療方針を解説します。
非浸潤がんだった場合
手術で取り出したがんが非浸潤がんであった場合、基本的に手術のみで治療完了となることが多いです。非浸潤がんは他臓器への転移リスクが極めて低いため、術後の抗がん剤や分子標的薬などの全身療法は通常不要です。ただし、再発予防の観点から術後放射線治療や術後ホルモン療法が追加されることがあります。
浸潤がんだった場合
浸潤がんでは、手術後に再発予防のための追加治療を行うのが一般的です。術後治療の内容は腫瘍のサブタイプ(ホルモン受容体やHER2の状態)やステージによって決定されます。主な術後治療は次のとおりです。
ホルモン療法
化学療法(抗がん剤治療)
抗HER2療法(分子標的療法)
放射線治療
浸潤がんの場合の術後治療は上記のようにさまざまですが、医師ががんの進行度やタイプ、そして患者さん本人の体調や希望を考慮して適切な治療方法を提案します。
乳がん術後についてよくある質問
本章では、乳がん術後の患者さんやご家族から寄せられるよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
乳がんの手術後に再発する確率を教えてください。
再発は多くの場合、術後2〜3年以内に起こりやすいですが、ホルモン感受性が強いタイプの乳がんでは5年以降に再発するケースもあります。また、乳がん術後の再発率は何%とはいえず、その確率は病状によって大きく異なります。不安な場合は自分の病期やサブタイプにおける再発率の目安を遠慮なく尋ねるとよいでしょう。
術後の放射線治療や薬物療法中でも仕事を続けることができますか?
はい、状況によっては仕事を続けることは可能です。実際、近年は治療を受けながら仕事を続ける乳がん患者さんもいます。ただし、治療の種類や副作用の程度、職場の環境によって両立のしやすさは異なります。いずれにせよ、無理をせず体調優先で働くことが重要です。治療と仕事の両立については、医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターで相談に乗ってもらうこともできますので、必要に応じて活用しましょう。
乳がんの手術後に妊娠をしても問題はありませんか?
乳がん治療後の妊娠について心配される方も多いですが、結論からいえば適切な時期を選べば妊娠出産は可能であり、大きな問題はないとされています。ただし、自身の治療計画との兼ね合いがありますので、必ず担当医と相談し適切な時期を見極めてください。治療前に妊娠を希望していた方は、治療開始前からその旨を医療者に伝えることで、将来の妊娠の選択肢を残す支援を受けられる場合があります。

