
鹿児島県南大隅町・浜尻エリアの磯「コシキ」に、仲間とともに渡礁してきた。佐多岬に隣接し、大型の口太グレが期待できるエリアとして知られるこの海で、どのようにして50cmクラスのグレに辿り着いたのか。潮の変化に合わせた釣り座移動や仕掛け調整など、当日の展開を振り返りながらレポートする。
祐千丸で向かう南大隅の磯「コシキ」
今回向かったのは、鹿児島県南大隅町・浜尻エリア。釣り仲間である藤野さん、仲宗根さんと自分の3名で、磯渡し船『祐千丸』にお世話になった。
この浜尻周辺は、磯釣りの聖地ともいえる佐多岬に隣接したエリアであり、浜尻港・間泊港・大泊港の3つの港からそれぞれ出船している。大隅半島といえば、魚の平均サイズがひと回り大きいイメージが強く、特に口太グレは50cmオーバーが現実的に狙えるフィールドとして知られている。
まだ薄暗い港に集合し、道具を積み込んで出船を待つ時間から、すでにワクワクが止まらない。船長と当日の風向きやウネリ、潮の具合を確認しながら、「どの磯に上がるか」という話題で盛り上がる。
そんな中で船長が選んでくれたのが、3人同時に渡礁可能な磯「コシキ」である。沖から見るコシキは、適度な高さと足場の良さがありつつ、ところどころにシモリやハエ根が点在していそうな雰囲気を漂わせている。これから始まる一日の展開を想像しながら、胸が高鳴る渡礁となった。
ファーストヒットから大型グレ登場
磯に荷物を上げ、手早くタックルをセットしていく。空が白み始め、東の水平線からゆっくりと太陽が顔を出す頃、海面にはオレンジ色の光が反射し、何ともいえない雰囲気が広がっていた。こうした「朝の少しバタバタした時間」も、磯釣りならではの楽しみだと感じる瞬間である。
釣り座はジャンケンで決め、海に向かって左から仲宗根さん、自分、藤野さんの順で並ぶことになった。コマセを打つ位置や狙う筋をそれぞれがイメージしつつ、「ここは潮が動き出したら一気に来そうだ」などと話し合いながら準備を進める。
ひと足先に仕掛けを打ち込み、いよいよ一投目。ウキが馴染んでしばらくすると、ツンと小気味よいアタリが伝わり、合わせを入れると手元に生命感。上がってきたのは約25cmの木っ端グレであった。サイズこそ小さいが、とりあえず魚の顔が見られたことでホッとする。実はこの日が、自分にとってその年最初の釣行でもあり、嬉しいファーストフィッシュとなった。
この時点での状況は、風によるウネリがやや強く、潮は左方向、つまり仲宗根さん側へ素直に流れている状態である。コマセと仕掛けの同調を意識しつつ様子を見ていると、残りの2人も釣りを開始。ほどなくして、仲宗根さんの竿が大きく弧を描いた。
足元にはハエ根が張り出しており、ドラグを出し過ぎると根に潜られてしまいそうなポイントだが、仲宗根さんは冷静に竿さばきで交わしていく。数度の突っ込みをいなし、慎重に浮かせてきた魚体は、海面に姿を現した瞬間から明らかに「デカい」と分かるシルエット。タモに収まったのは50cmジャストの口太グレであった。
一投目からの50cmオーバーというドラマに、本人はもちろん、こちらも思わず歓声を上げてしまう。しかもこれが仲宗根さんの自己記録更新というオマケ付き。朝イチからいきなりクライマックス級の魚が飛び出し、「今日は何匹出るのか」と期待が一気に高まった。しかし、良い流れが続いたのも束の間。潮止まりのタイミングを境に、徐々にアタリが遠のいていく。コマセを打っても魚の反応が薄くなり、ウキが最後までスーッと入りきらないもどかしい時間が続き始めた。ここから、どう立て直していくかがこの日の大きなテーマとなった。

