●「財布が同じ」かもしれない点に注意
ただし、今回のようなケースでは、事実上「財布が同じ」になってしまうかもしれません。 これだけだと意味が分かりにくいと思いますので、具体的に考えてみましょう。
仮に、相談者が相手の女性(妻B)から慰謝料として100万円を受け取ったとします。
一方で、相手の夫(夫B)が相談者の夫(夫A)に慰謝料として100万円を請求して認められたとします。このとき、相手の夫に支払われる100万円は、相談者夫婦の共有財産から支出されるおそれがあります。
相談者は離婚の意思が固いようです。離婚した場合には財産分与といって、夫婦の財産を分け合うことになりますが、上のような慰謝料の支払いによって、相談者が受け取れる財産が目減りしてしまう可能性があります。
このため、具体的な事情によって次のような工夫が必要になるかもしれません。
・財産分与の合意をなるべく早く固めるなどして、夫からの財産の流出を防ぐ
・相手妻からの慰謝料は一括払いでできるだけ早期に受け取る
・相手の女性に慰謝料を支払ってもらう際、相談者と相手方女性との間で交わす合意書に、相手の女性が相談者の夫に『半分負担して』などと請求できなくする条項(求償権の放棄)を入れる
離婚の時期や、相談者の夫と相手方女性との関係性など、個別の判断が必要となるため、弁護士に相談することをおすすめします。
(参考文献)
森公任・森元みのり監修『離婚の法律相談と手続き 実践マニュアル』(三修社、2020年)
(監修:小倉匡洋 弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

