●立場や職域を越えてつながる面白さ
「NPO」と「教育」の2本柱をひとすじに貫いてきたように見えるが、「自分はかつて中途半端だと思っていた」と語る鬼澤氏。悩みながらも大事にしてきたのは「当事者感覚」だ。 Teach For Japan職員としての経験、現在BLP-Networkを運営する代表としての立場で、NPOが抱えるリスクや課題、職員の感じる不安が現実味をもって感じられる。NPO法務には企業法務弁護士が有用だということも、説得力がある。
また、「教育判例勉強会」を通じて、10年以上も現場の教員との交流を続けてきた。「判例は事実が克明に記されています。勉強会で細かく事例を追っていきながら、先生たちの意見を聞くと、思考プロセスが見えてくる。それを言語化することに意義を感じています」。いじめ自殺などシビアな状況では、学校現場は硬直する。メディアは犯人探しになりがちだ。そんななかで冷静な第三者として、事態を整理することが重要だと指摘する。
重大な結果を招いた背景はなにか。どういう指導がまずかったのか。防ぐ手立てはあったのか。「同一化しなくとも、学校の先生ならどう考えるかを先回りして、合理的な解決法を探るのが、私の役割だと思っています」。こうして長く外部の介入がなかった教育界ともつながりを深め、学会にも所属し論文を書くほどまで入り込んでいる。文部科学省では、全国に配置され始めたスクールロイヤーのアドバイザーとして活躍する。
おにざわ法律事務所のプロフィールには、こうある。「ぜひ私を皆様の悩みや課題を解決する『仲間』に加えていただければ幸いです」。人と人の間に入り、仲をつなぐ。その輪はどんどん広がっている。
【プロフィール】 おにざわ・ひでまさ 東京大学法学部卒、同法科大学院修了。在学中からNPOに携わり、司法修習を1年遅らせ教育系NPO職員として勤務した。TMI総合法律事務所を経て、2017年に独立。現在はスクールロイヤーやNPO法務を中心に活動。NPOを支援する弁護士団体「BLP-Network」の創設者・現代表。

