アトピー治療中の愛犬に「黒いイボ」が多発…知っておきたい皮膚乳頭腫症の基礎知識【獣医師が解説】

アトピー治療中の愛犬に「黒いイボ」が多発…知っておきたい皮膚乳頭腫症の基礎知識【獣医師が解説】

皮膚乳頭腫症とは何か?症状の特徴と発症メカニズム

悲しげな表情で伏せるチワワ

皮膚乳頭腫症は、犬の皮膚に黒色に色素沈着したイボ状の病変が多発する疾患です。この病気は、パピローマウイルスというウイルスの感染によって引き起こされることが知られており、特に免疫力が低下した状態の犬に発症しやすいとされています。

報告されている症例では、8歳のチワワがアトピー性皮膚炎の治療でプレドニゾロン(ステロイド薬)を長期間使用していたところ、主に左後ろ足を中心として多数の黒い乳頭状病変が出現しました。これらの病変は、最初は小さな隆起として現れますが、徐々に大きくなり、表面が粗くイボ状の見た目になります。

病変の組織検査では、パピローマウイルス感染の明確な証拠となる重要な結果が得られます。免疫機能が正常な犬では、このようなウイルス感染に対して適切な免疫反応が働きますが、長期間のステロイド使用や基礎疾患により免疫力が低下している状態では、ウイルスが増殖しやすくなり、皮膚乳頭腫症の発症リスクが高まります。

飼い主が注意すべき初期症状として、皮膚表面の小さな隆起や色素沈着、触感の変化などがあります。特に、慢性的な皮膚疾患で治療を受けている犬では、定期的な皮膚の観察が重要です。

診断プロセスと他疾患との鑑別 正確な診断の重要性

台の上で獣医師の手に支えられているチワワ

皮膚乳頭腫症の診断は、症状の観察から始まりますが、確定診断には組織検査が不可欠です。鑑別すべき主な疾患には癌なども含まれ、これらの疾患は外見上類似することがあるため、正確な診断のためには組織生検が必要となります。

症例のチワワでは、病変部の組織検査により、パピローマウイルス感染の証拠が得られ、PCR検査によりパピローマウイルスの存在も確認され、診断がより確実となりました。

診断プロセスでは、基礎疾患の評価も重要です。アトピー性皮膚炎や他の免疫抑制状態が皮膚乳頭腫症の発症に関与している可能性があるため、全身状態の詳細な評価が必要です。血液検査により肝機能や免疫状態を確認し、治療方針の決定に役立てます。

早期診断の利点は、適切な治療開始により病変の進行を抑制できることです。また、悪性腫瘍との鑑別により、私たち飼い主の不安が軽減されます。定期的な経過観察により、治療効果の評価と必要に応じた治療方針の修正を行うことができます。

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