●どんな場合に「婚姻関係の破綻」とされるのか
──「婚姻関係が破綻している」と判断されるのはどのようなケースでしょうか。
たとえば、夫が性交不能であることを婚姻前に告知しておらず、結婚から1年以上にわたり一度も性交渉がなかったケースで、夫婦の性生活は婚姻の重要な要素であり、性交の拒否について離婚原因を認定する一要素となり得るとし、離婚事由として認めた裁判例があります(最高裁昭和37年2月6日判決)。
ただし、性交渉を数回断っただけの場合や、体調不良や病気、年齢などの事情で性交渉ができない場合には、夫婦の精神的・肉体的結合が失われたとまではいえず、離婚事由が認められない傾向にあります。
今回の相談者のように、ワンオペ育児や仕事・家事による疲労・身体的苦痛などを理由に性交渉に応じられない場合には、夫婦の精神的・肉体的結合が失われたとまでは評価されにくく、セックスレスを理由とする離婚事由は認められる可能性は低いと考えられます。
したがって、相談者に「有責性」が認められる可能性は高くありません。
なお、夫婦関係において性行為に対する認識のずれが関係悪化につながることも多く、関係が修復困難となる前に、お互いの状況や考え方を素直に話し合うことが重要ですね。
【取材協力弁護士】
稲生 貴子(いのう・たかこ)弁護士
「弁護士×オカン×あなたのパートナー」。2児の母としての経験を活かし、家庭や子育て、人生の悩みに丁寧に寄り添う、相談しやすく温かな弁護士を目指しています。
事務所名:弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
事務所URL:https://takiilaw.com/

