豊臣秀長(仲野太賀)を主人公に、兄・秀吉(池松壮亮)の天下取りを支えた弟の目線で戦国時代をダイナミックに描く大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合ほか)で、女優の浜辺美波が一途で健気な寧々役を好演している。波乱の人生を歩む兄弟を描くこの物語は、2人が仕える織田信長(小栗旬)が、室町幕府最後の将軍・足利義昭(尾上右近)を奉じて天下一統すべく、敵対する朝倉家討伐に向けて動き出した。天下人への階段を駆け上がる秀吉のそばで自身の立場も大きく変わることになる寧々。激動の時代を描く本作で、浜辺が見せるキュートな演技が一服の清涼剤になっている。
長浜城の場面に夫の出世「肌で感じた」
浜辺は「久しぶりに現場に行ったら、巨大な城(長浜城)が建っていて本当にびっくり」と目を丸くし、「CGで広がる景色は美しく、髪型が少し変わったり、セットの装飾が追加されたりして、秀吉と小一郎(仲野)が出世していっているんだなと、あの場所にいて本当に肌で感じました」と語る。長浜城で、寧々はのちの加藤清正(伊藤絃)や福島正則(松崎優輝)となる若者たちを預かり、育てる立場にもなる。「立場としては人質に近いのですが、自分の子供のようにかわいがって、愛情深い女性であったと映ればうれしいです。立場も上がってきましたので、後の展開につながる貫禄も身につけていけたら」。母としての顔、そして城主の妻としての覚悟をのぞかせる。
膝枕の場面、台本では逆だった!
寧々といえば、第10回(3月15日放送)で描かれた藤吉郎(池松)に膝枕で耳かきをしてもらうシーンが話題になった。脚本では寧々が藤吉郎に耳かきをするはずだったが、池松と監督が話し合い、「逆のほうが新鮮」と立場が逆転したという。自身も「2人の関係が表れている」と納得。
お気に入りのシーンは、第13回(5日放送)で、小一郎に嫁いできた慶(吉岡里帆)が何か企んでいると疑い、藤吉郎とともに小一郎の家に乗り込んだ後に「初めてお前様と2人で戦った気がいたします」と話したところ。「些細なやりとりですが、こういった積み重ねが絆を生むんだろうなと思いました」と目を輝かせ、藤吉郎とのやりとりを愛おしそうに振り返った。座長の仲野にも絶大な信頼を置く。「本当に素晴らしい座長。作品との向き合い方がとても真摯で、温厚な優しい笑顔にみんなパワーをもらっています」
朝ドラ「らんまん」チームの安心感、ムードメーカーは前原瑞樹
浜辺とNHKといえば、主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の妻・寿恵子を好演した連続テレビ小説「らんまん」(2023年)が真っ先に頭に浮かぶ。その経験は今作でも生かされており、「(『らんまん』の撮影で)1年弱着物を着ていたので、着物で長時間いても、鬘が重くても体力的には大丈夫。ちょっとした所作も身体に染みついているので、不安なく演じられています」と頼もしい。さらにこの現場は、「らんまん」に登場したキャストが多く、彼らの存在も大きな安心感につながっている。「長期間ご一緒した顔なじみのメンバーがいると、心がほぐれてホッとします」。
なかでも、ムードメーカーとなっているのが義妹の夫・甚助役で共演している前原瑞樹だ。「どこにいても笑い声が聞こえてきて、『あ、今日いるんだ!』と安心します。前原さんを中心に話の輪が広がるので、みんなが前原さんの私生活を知っています(笑)。コミュニケーション能力がすばらしくて、現代の秀吉なのかもしれないと思うくらい」と笑う。
天下人の妻としてどう生きるか
物語が後半に差し掛かると、夫の秀吉はさらなる出世を遂げ、同時に大きな責任と苦難を背負うことになる。「旦那様が偉くなり、守るものが増えることが人を強くするのではないかなと思います。責任も重くなり、精神力を削るような場面も傷つくことも多いと思うので、それを1人で受け止め続けた寧々を尊敬しています。恥じないように務め上げたいです」
まだ脚本は完成しておらず、今後寧々がどう政に関わっていくのか未知数の部分も多いが、「秀吉さんの行いやいろんな経験を経て、もっと器が大きくなった寧々の大きな愛で包んでいけたらと思っていますが、最後まで嫉妬しているかもしれないですね。私も楽しみに待ちたいと思います」と笑顔を見せる。
激動の時代を生きた天下人の妻。時折見せるチャーミングな浜辺らしい演技が、過酷な戦国物語に温かな光を添えている。

