●免責全体が取り消されるリスクがある
そもそも今回のケースでは、免責全体が後から取り消される可能性があります。
破産法254条は、「不正の方法によって免責許可の決定がされた場合」、その決定後1年以内に債権者が申立てをすれば、免責が取り消されると定めています。
相談者が意図的に特定の債権者(知人)を名簿から外した行為は、「不正の方法」に当たる可能性があります。この場合、免責全体が取り消され、借金がすべて残ってしまうリスクがあります。
なお、今回のケースでは、債権者である知人を隠して申立てをしたことが露見せずにすでに免責を受けているようですが、虚偽の記載をした債権者一覧表を提出することは免責不許可事由ですので(破産法252条1項7号)、破産手続きの中で発覚した場合には、そもそも免責そのものが認められないリスクがあります。
●こういう進め方をしてはならない
「知人への借金だけ隠せば、後でこっそり返せる」という発想は非常に危険です。
上で説明したように、免責が認められなかったり、後で取り消されるリスクがあります。
また、破産手続きを進めるということは、お金に困っているわけです。知人への債務が残ってしまうと、経済的な再建が困難となるおそれがあります。金額によっては破産をした意味が失われかねません。
弁護士は、一部の債権者を意図的に隠す進め方は勧めません。
知人への借金も含め、正直に全員を名簿に載せた上で手続きを進めるべきです。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

