芸人で作家の又吉直樹による“カルタの句”を原案にしたドラマイズム「失恋カルタ」(MBS・TBSほか)。本作でトリプル主演を務める乃木坂46の梅澤美波、俳優の西垣匠、女優の加藤小夏がドラマで出会ったのが、大学時代のボードゲームサークル。ゲームといえば、加藤はYouTubeで自身が主人公のモデル(モーションアクター)を務めたゲーム「SILENT HILL f(サイレントヒルf)」の実況動画が大バズりし、大きな反響を呼んだ。そんな加藤と、共に主演を務めた梅澤に、ハマったゲームのことや、実況から生まれた変化などを聞いた。(取材・文:磯部正和)
アナログゲームが教えてくれた、人とつながる喜び
――梅澤さんは普段、プライベートでもゲームをされますか
梅澤「いえ、私は全然やらなくて。本当に有名な『マリオカート』などを少しだけかじったことがある程度で、あまりゲームには縁がない生活でした」
――今回、劇中でボードゲームの世界に触れてみていかがでしたか
梅澤「めちゃくちゃ楽しかったです! 今はデジタルなゲームが多いですが、こうして人が一箇所に集まって、通信では味わえないその場限りのやり取りを楽しむアナログな魅力はすごくいいなと思いました。より仲も深まりますし、実際にやってみてその良さを実感しました」
加藤「私もデジタルゲームは全然やらないですし、むしろ苦手なんです。昔、お兄ちゃんの『ポケモン』をちょっといじるくらいでした。ただ、トランプやウノは小さいころからずっとやっていたので、私も美波と同じで、実際に物があって人と対面して遊ぶ方が楽しいなと感じます」
――現場でも、キャスト同士でボードゲームを楽しまれたそうですね
梅澤「はい。『ito(イト)』という、お互いの価値観をすり合わせるゲームをみんなでやりました。初日から3人で遊んでいたのですが、そこでお互いの価値観を読み合える関係だということが分かったので、関係性を築く上で実り多い経験になりました」
加藤「劇中のサークルの雰囲気が、そのまま現実の私たちにも出ていましたね」
6時間耐久も当たり前? 驚きの「大富豪」愛
――加藤さんは、かなりの「大富豪」好きだと伺いました
加藤「やばいですよ、私の大富豪好きは(笑)。好きすぎて『富豪ハラ(富豪ハラスメント)』をしてしまうくらいなんです。自分が大富豪になるまで終わらせないぞ、と周りを強引に誘ってしまいます。おばあちゃんの家でずっと鍛えられてきたので、腕前には自信があります」
――親戚が集まると、かなり白熱した勝負になるのでしょうか
加藤「お正月に親戚が集まると、いとこたちもお兄ちゃんも同じ血が流れているので、みんな『富豪ハラ』がすごくて。以前、6時間くらいずっとノンストップで大富豪をやっていたこともあります。全然飽きないんですよ」
――6時間! どうやって決着をつけるのですか
加藤「『お腹が空いたから、そろそろ夜ご飯にするか』となるまで終わりません。大富豪って、大富豪と大貧民がカードを交換するルールがあるので、極まってくると下の順位の人は絶対に勝てなくなってしまう瞬間があるんです。でも、みんな上手だから強いカードを最後まで温存したりして。勝ちたいから必死ですよ(笑)」
――今回の撮影現場でも披露されたのですか
加藤「やりたかったですけど、今回は控えました。現場で始めてしまったら、私が止まらなくなって撮影に支障が出てしまうので(笑)」
俳優が「ゲーム実況」をすることへの独自の哲学
――加藤さんはあまりデジタルゲームをやらないとのことですが、YouTubeでは「サイレントヒルf」のゲーム実況もされていますよね。動画は大バズりしていました
加藤「今の時代だったからこそ、幸運にもできたことだなと思っています。本来、俳優という仕事をしている人間が、ああいう姿をさらけ出しちゃいけないんじゃないかと、私個人は思っているんです。ただ、インフルエンサーさんやYouTuberさんが当たり前にいる時代背景があったからこそ挑戦できました。ゲーム自体は今でも全然好きじゃないんですけどね(笑)」
――あの独特の空気感や、俳優ならではの「間」の取り方が人気を博しています
加藤「役者という仕事は、常に『普通』でなければいけないと考えています。今回演じた彩世もそうですが、普通の感覚を大切にしなければならない。配信での自分の立ち居振る舞いを見て、『あの時自分は何を考えていたんだろう』と、改めて客観的に分析してみたくなりました」
――配信後、環境に変化はありましたか。
加藤「すごく反響をいただいて驚いていますが、私自身は何も変わっていないというのが正直なところですね(笑)」
――今回の「失恋カルタ」のようなリアルな役を演じることで、俳優として得られたものはありましたか
梅澤「『普通に生きている』という感覚を、作品から改めて与えてもらった気がします。私自身、普段からそこまでオン・オフを激しく切り替えるタイプではないのですが、それでも、この作品で描かれるような素朴な日常会話や感覚が、自分の中から少しずつ薄れてきているな、と演じてみて感じました。何も考えない『無』の時間を作ることが難しい日々ですが、この作品は考えすぎない方がいい。感情を心に落とし込む作業の難しさと大切さを学びました」
加藤「でも、美波自身の人間性があったからこその千波で、本当にすてきでしたよ。根っからの真面目さや、少し抜けているチャーミングな部分、そのすべてがキャラクターに息づいていました」
――梅澤さんから見た、俳優・加藤小夏さんの魅力とは
梅澤「本当にかっこいい方だなと思いました。すごく自然体で、どこでスイッチを入れているんだろうと不思議に思うくらいナチュラルなんです。人が生きる中で必死に頑張っているそぶりが全く見えないのが、めちゃくちゃかっこいい。小夏ちゃんが演じる彩世だったからこそ、私の演じる千波の心が動いた瞬間が数え切れないほどありました」
加藤「そう言ってもらえるとうれしいです。3人のたわいもない会話から生まれたシーンも多かったですし、お互いに心を解放し合っていたからこそ、あのみずみずしい空気感が作れたんだと思います。今後、殺人鬼のような役であっても、その本人にとってはそれが日常ですから。そうした日常に潜む何かに触れる役にも、いつか挑戦してみたいですね」
梅澤「私はまだ経験値が多いわけではないですが、自分の中にあるものが透けて見えるような、面白みのある役を追求していきたいです」
加藤「美波は良い意味でアイドルっぽくないから、逆に『ブリブリのアイドル役』を見てみたいかも!」
梅澤「私にできるかな……頑張ります(笑)!」

