
体がゆがむと太りやすくなる原因とは?(画像はイメージ)
【要注意】えっ…ヤバっ! これが体のゆがみを悪化させる5つの“NG行為”です
体のゆがみは腰痛や肩こりを引き起こします。ネット上では「体がゆがんでいると太りやすい」という情報がありますが、本当なのでしょうか。用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック(東京都世田谷区)院長で総合内科専門医、消化器病学会専門医の菊池真大さんが解説します。
姿勢のゆがみが「肥満」を招く医学的根拠
結論から言うと、「体がゆがんでいると太りやすい」という情報は事実と言えます。体のゆがみは主に次の6つの要素に影響を与えます。
(1)筋骨格系:筋活動の非対称による基礎代謝の低下
姿勢に異常が生じると、重力にあらがって姿勢を保つ筋肉群である「抗重力筋」の活動パターンが乱れます。すると、本来大きな筋群である大殿筋、腹横筋、多裂筋が十分に働かなくなる一方、腸腰筋や脊柱起立筋、僧帽筋上部などが過活動となり、筋活動の効率が著しく低下します。
筋肉は基礎代謝の約20%を担うため、この非対称な筋活動は全身のエネルギー消費を確実に落とし、代謝低下の出発点となります。
(2)呼吸生理:胸部の可動性低下により脂肪の燃焼効率がダウン
猫背や巻き肩によって胸郭(肋骨などの胸周り)の拡張を妨げられると、横隔膜の下降量が減少します。すると、1回当たりの換気量が低下し、呼吸補助筋の過活動を招きます。
これにより呼吸が浅くなって酸素摂取効率が落ち、ミトコンドリアでの脂肪をエネルギーに変えるプロセス(β酸化)が低下するため、姿勢異常は呼吸生理を介して脂肪燃焼の生化学的効率そのものを下げてしまいます。
(3)自律神経:交感神経が慢性的に優位な状態が続き代謝が破綻
浅い呼吸が続くと交感神経が慢性的に優位となり、ストレスホルモンの一種である「コルチゾール」の分泌量が増加します。
これにより、内臓脂肪蓄積やインスリンの効き目の悪化、食欲増加、睡眠の質低下といったエネルギーの消費と貯蔵のバランスが崩れる『代謝破綻』の連鎖が起こります。「交感神経優位=痩せる」と誤解されますが、交感神経が慢性的に優位な状態が続くと、むしろ太りやすい体になります。
(4)血流、リンパ流:下肢うっ滞と冷えによる脂肪代謝低下
骨盤が後ろに傾いたり、猫背の状態が続いたりすると、血液が心臓に戻る流れ(還流)を妨げ、むくみや冷えを引き起こします。冷えた組織では脂肪分解酵素が低下し、皮下脂肪の代謝が鈍くなります。その結果、脂肪が燃えにくい状態となります。
(5)内臓機能:骨盤傾斜による内臓下垂と腸内環境の悪化
骨盤の前傾、後傾は内臓の位置に影響し、特に後ろに傾くと腸が内容物を送り出す「蠕動(ぜんどう)運動」が低下して便秘やガス貯留、腹部の膨満を招きます。
腸内細菌の集まりである「腸内細菌叢(さいきんそう)」(別名:腸内フローラ)が乱れると、体内で炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)が増加します。
これにより、本来なら排出されるべきエネルギーまで過剰に吸収してしまうなど、肥満との関連が強まります。その結果、内臓機能が低下し、代謝に影響を及ぼします。
(6)行動医学:疲労蓄積により活動量が低下し、消費カロリー減少
姿勢異常は動作効率を落とし、同じ動作でも疲れやすくなるため、歩行量の減少や階段の回避、運動の継続困難といった行動変化を引き起こします。こうした日常的な活動量の低下は消費カロリーの減少へと直結し、最終的に体重増加につながります。
「代償動作」とは
もし体がゆがんだまま運動すると、負荷が正しく筋肉に入らなくなります。「骨盤が前傾、後傾している」「胸郭がねじれている」「足部アーチが崩れている」などの状態では、本来使うべき筋肉に負荷が入らず、代わりにその周囲の筋肉ばかりが働くようになります。これを代償動作と言います。
その結果、鍛えたい筋肉は育たず、弱い部分は弱いまま残ります。ゆがみがあると代償動作が固定化され、むしろ悪化することもあります。
骨の正しい配列は“筋肉が最も効率よく働く位置”であり、運動効果を最大化するための前提条件になります。けがのリスクが大幅に減り、安全性が飛躍的に高まります。整えた後に運動で正しい筋活動パターンを学習させると、姿勢が安定し、ゆがみが戻りにくくなるという“定着効果”が生まれるのです。
