「しわ」と言っても、その種類や原因は様々であることをご存じの方は少ないと思います。年齢を重ねることで目立ちやすくなるしわもあれば、若い世代でも生じやすいしわもあります。そして、しわの種類によって、ヒアルロン酸やボトックスなど適した治療法が異なることをご存じでしょうか。今回は、しわの分類と原因、見分け方のポイントを中心に、みずき皮膚科クリニックの原先生に詳しく解説していただきました。

監修医師:
原 みずき(みずき皮膚科クリニック)
2010年東京女子医科大学医学部卒業後、がん・感染症センター都立駒込病院にて初期研修をおこなう。以後、皮膚腫瘍科や東京逓信病院皮膚科での勤務を経て、2019年にみずき皮膚科クリニックを開院。アトピー性皮膚炎や乾癬、ニキビ、イボなどの一般皮膚科から、シミ・しわ・たるみ・ニキビ痕などの美容皮膚科まで幅広く診療。地域のかかりつけ医として、丁寧な説明とあたたかみのある診療を心がけている。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
「しわ」にも種類がある? 分類と原因を正しく知る
編集部
しわといっても種類があると聞きました。医学的にどのように分類されているのか教えてください。
原先生
しわは大きく分けて、「表情じわ」「小じわ」「たるみじわ」の3種類に分類されます。表情じわは、笑ったり怒ったりといった表情の変化に伴って生じるしわで、眉間や目尻などに見られます。小じわは、皮膚表面のコラーゲンが減少することで現れる細かなしわで、加齢や乾燥などによって生じやすくなります。そしてたるみじわは、骨や脂肪などの土台が減少することによって生じるしわで、ほうれい線やマリオネットライン、ゴルゴラインなどがこれに該当します。
編集部
しわができる根本的なメカニズムは、皮膚や筋肉など、どのような要素が影響するのでしょうか?
原先生
しわの種類によって原因は異なります。表情じわは、筋肉の動きによって皮膚に繰り返し負荷がかかることで生じるため、筋肉の動きを抑えるボトックス治療が適しています。小じわは皮膚内部のコラーゲンや水分が失われることによって起こるため、スキンケアやレーザー、スキンブースターといった治療が有効です。たるみじわは、加齢による骨や脂肪の減少が主な原因であり、ヒアルロン酸などで内側から支える治療が用いられます。
編集部
年齢とともに増えるしわには、どのような特徴や傾向がありますか? 若い人のしわとの違いについて教えてください。
原先生
年齢とともに目立つしわは、たるみや皮膚の定着によって深く刻まれる傾向があります。若年層のしわは、一時的な表情の変化によって現れる可動性のしわが多く、皮膚の弾力が保たれているため元に戻りやすいのが特徴です。しかし、年齢を重ねると表情じわが刻みじわへと進行し、小じわやたるみじわも併発して、しわが重層的に現れるようになります。しわの深さや戻りにくさは、皮膚のコラーゲン量や骨格の変化とも大きく関係しています。
ヒアルロン酸が効くしわ・効かないしわとは?
編集部
脂肪の減少によるしわ治療にヒアルロン酸を使う場合、どのようなしわに効果があるのでしょうか?
原先生
ヒアルロン酸は、骨や脂肪の減少によりできる、たるみじわに対して有効です。たるみじわは皮膚の表層ではなく、骨や皮下脂肪といった深層の体積の減少によって凹みが生じ、影が出ることで目立つしわです。ヒアルロン酸を皮下や骨の上に注入することで、内側から支えを再構築し、しわの改善とともにリフトアップ効果が期待できます。
編集部
ヒアルロン酸が適さない、あるいはほかの治療が望ましいしわとは、どのようなしわですか?
原先生
ヒアルロン酸が適さないのは、筋肉の動きによって生じる表情じわや、皮膚表面の質の衰えによるちりめんじわです。額や眉間、目尻などの表情じわには、筋肉の動きを抑制するボトックスが適応となります。また、乾燥や加齢によって生じる細かなしわには、スキンブースターやピーリング、ビタミンAを含むスキンケア、レーザー治療などが効果的です。しわの種類に応じて、適切な治療法を選ぶことが重要です。
編集部
しわの状態によって、注入量や場所などの治療計画は変わりますか?
原先生
しわの深さや位置、肌質、加齢の進行度によって、ヒアルロン酸の注入量や注入部位は大きく変わります。自然な仕上がりを目指すには、単にしわを埋めるのではなく、顔全体のバランスを見ながら、必要な部位に適量を分散して注入することが重要です。また、表情や輪郭の動きを考慮した設計も不可欠であり、経験豊富な医師による丁寧なデザインと施術が成功の鍵となります。

