40代に入ると、疲れやすさや不調を「年齢のせい」「更年期だから」と受け流してしまいがちです。しかし、40代の不調の背景には別の病気や生活習慣の乱れが隠れていることもあります。見極めのポイントと対処の方法について、板橋腎・リウマチ隼聖クリニック院長の上野先生に聞きました。
※2026年2月取材。

監修医師:
上野 智敏(板橋腎・リウマチ隼聖クリニック)
鹿児島大学医学部医学科卒業。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。その後、飯塚病院、虎の門病院、複数の医療機関で経験を積む。2023年、東京都板橋区に「板橋腎・リウマチ隼聖クリニック」を開院。医学博士。日本内科学会認定総合内科専門医、日本腎臓学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本透析医学会専門医、日本高血圧学会専門医。
40代になると見られやすい体調不良とは?
編集部
40代になると、どのような体調不良が起こりやすくなりますか?
上野先生
40代は心身の変化が重なりやすい時期です。疲れが取れにくい、動悸(どうき)や息切れ、頭痛、めまい、肩こり、不眠といった身体症状に加え、気分の落ち込みや不安感、集中力の低下など、精神面の不調も見られやすくなります。身体的・精神的な不調はホルモンバランスの変化による場合もありますが、仕事や家庭でのストレス、生活習慣の乱れが影響していることも少なくありません。
編集部
日によって体調が大きく変わることも40代の特徴ですか?
上野先生
40代に限らずいえることですが、日によって体調の波があることを実感している人も多いと思います。今日は元気でも、翌日は強いだるさや不安感が出るといった変動を繰り返すケースも珍しくありません。結果として、「気のせい」「疲れているだけ」と自己判断しやすく、受診が後回しになることもあります。
編集部
なぜ、日によって体調が変わるのですか?
上野先生
さまざまな要素が関係して体調の変化が起きるからです。例えば気圧、天気、湿度などによっても影響を受ける上に、暖房やエアコンの状態などでも体調は変化します。さまざまな環境因子によって症状が変わりやすいのも40代の不調の特徴かもしれません。
編集部
更年期の不調には男女差があるのですか?
上野先生
いいえ、更年期の不調というと女性に多いというイメージがあるかもしれませんが、女性に限ったものではありません。男性も40代以降になると、ホルモン環境の変化や加齢、生活習慣の影響により、疲労感や気力の低下、睡眠障害などを感じやすくなります。女性の更年期が注目されがちですが、男性にも同様に体調の転換期があります。
更年期で片付けることの危険性
編集部
「更年期障害だから仕方ない」と自己判断することの問題点は何ですか?
上野先生
本来治療が必要な病気を見逃す可能性がある点です。更年期症状と似た症状を示す病気は数多く存在します。貧血、甲状腺の病気、自律神経の異常、心臓の疾患、精神的な不調などが、更年期と誤解されることも少なくありません。
編集部
症状だけで更年期障害かどうか判断できますか?
上野先生
症状だけで更年期障害かどうか、正確な判断は困難です。更年期症状は個人差が大きく、ほかの病気とも重なりやすいため、血液検査やホルモン検査などの客観的な評価が必要になるケースがあります。不調の原因を整理し、適切に対応することが大切です。
編集部
女性であれば、婦人科を受診すれば十分でしょうか?
上野先生
症状によっては婦人科だけでなく、内科や心療内科など、ほかの診療科の視点が必要な場合もあります。例えば、動悸や息切れが強い場合は、貧血、心臓の疾患、甲状腺機能などの検査が重要ですし、不安感や気分の落ち込みが続く場合は、メンタルケアが必要になることもあります。また、40代は糖尿病や脂質異常症など生活習慣病が表れやすい時期でもあります。一つの診療科に限定せず、症状に応じて内科など、相談先を広げることが大事です。
編集部
男性は、何科を受診すればよいでしょうか?
上野先生
一般的に、更年期の男性が抱える不調を診察する診療科は、泌尿器科や内科です。ただし、その他の科目でも更年期の不調を診察しているクリニックもあります。近くに該当する医療機関がないか、一度調べてみるとよいと思います。
編集部
不調を我慢し続けると、体にどんな影響がありますか?
上野先生
心身のバランスが崩れ、仕事や家庭生活に支障を来すことがあります。また、不調であることが当たり前になり、回復のきっかけを失う場合もあります。40代の不調は、将来の健康を左右する重要なサインです。早めに向き合うことで長期的な健康維持につなげましょう。

