現在放送中のNHK連続テレビ小説「風、薫る」(総合など)で、2人のヒロイン奥田りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)に大きな影響を与える大山捨松。物語を動かすきっかけを作るこの役を好演しているのが、女優の多部未華子だ。捨松は幕末から大正期を生きた実在の人物で、「鹿鳴館の華」と呼ばれた貴婦人。旧会津藩の家老の家に生まれ、明治維新を経て米国に留学した。帰国後は、旧薩摩藩出身でのちに陸軍大臣となる巌(髙嶋政宏)と結婚。夫とは18歳も年が離れているが、その立場を生かして慈善事業や女性の地位向上に励んでいる。
「欧風芸者」と陰口を叩かれながらも、「私にとっての結婚はgoalではなく、その先のmy life。私の人生を生きるための手段」と割り切る強さを持つ。多部はそんな捨松の生き方に魅了されており、「自分の考える道を実行に向けて進める姿勢がとてもかっこいい」と目を輝かせる。一方、役づくりでは苦労も多く、「周りの人々から一目おかれるような存在でいなければならないので、所作や話し方などにその雰囲気を出しながら演じることはとても難しかった」と振り返る。
朝ドラ「風、薫る」とは?
大関和と鈴木雅という実在した2人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフにした朝ドラ。激動の明治時代、まったく違う境遇に生まれ、それぞれ生きづらさを感じていた2人の女性が、未開の看護の道を切り開いていく姿を描く。「あなたのことはそれほど」「病室で念仏を唱えないでください」「くるり~誰が私と恋をした?~」などの連ドラで知られる吉澤智子さんが脚本を書き、Mrs. GREEN APPLEが主題歌「風と町」を歌う。
多部未華子 コメント
――出演オファーを受けた時の心境は?
「捨松は戊辰戦争で籠城した際に壮絶な体験をし、その後若くしてアメリカに留学をしているので、早くにとても多くのことを経験しています。
そのような経験から自分がやりたいことは何かを考え、男性に頼らない女性のあり方に思いを巡らせて生きてきた人なのかなと想像しました。
当時の日本で捨松のような考えは周りに影響力がある一方で、陰口などもたたかれてしまう環境でもあったようですが、帰国後の日本で自分の考える道を実行に向けて進める姿勢がとてもかっこいいですし、生き方が魅力的な役柄でぜひやってみたいと思いました。
“鹿鳴館の華”と呼ばれているだけあり、周りの人々から一目おかれるような存在でいなければならないので、所作や話し方などにその雰囲気を出しながら演じることはとても難しかったです。
留学中に看護の勉強もしていた捨松が主人公の2人に影響を与えるシーンがあるのですが、2人が築き上げてきた空気感をきちんと感じながら演じられたらいいなと思っていました」
――朝ドラ主人公経験者として何か感じることはありますか?
「“朝ドラ”の現場は久しぶりすぎて新鮮な気持ちのほうが大きいです。
20歳のときにご一緒したスタッフさんとお会いするとなつかしくて……。
私から主人公のお2人へのアドバイスなんてないですが、『つばさ(2009)』でヒロインをやらせていただいたとき、つばさという役の感情を一番理解しているのは私だと思っていました。
強気な発言だと思われるかもしれませんが、誰よりも自分が一番その役の目線で台本を読んでいるから“自信を持つようにしていた”というのが正しいかもしれません。
だから、りんと直美と一番長く時間を過ごしている見上愛さんと上坂樹里さんが演じる2人のキャラクターがすべてだと思っています。主人公の周りにいる人間を演じる私はそんな2人について行く感覚がとても楽しいです。
これからも撮影が続くのでまだまだ山あり谷ありだと思いますが、ご自身が台本を読んで感じたままをセリフとして話したらすごくステキなりんと直美になると思うんです」

