男女平等が浸透したことで日本の女性漫画家が「ようやく活躍できるようになった」とする風説がXで波紋を呼んでいる。海外メディアが日本のジェンダー意識の低さを指摘した、といううわさが広がったが、人から人へと話が伝わるうちに真意がねじ曲げられた可能性もある。
騒動が始まったのは19日ごろ。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が季刊で発行する機関誌「ユネスコ・クーリエ」の英文サイトに掲載された漫画家・白浜鴎さんのインタビュー記事を引用する形で、海外のXアカウントが「女性漫画家の増加」について言及すると、海外のアニメ・漫画ファンが猛反発した。
ルミコ(高橋留美子さん)はもう50年近く描いているのに、漫画で女性がやっと目立つようになったなんて言ってるよ(スペイン語)
初めて見たアニメは「セーラームーン」(武内直子さん)で、初めて買ったVHSは「らんま1/2」(高橋さん)だった。どちらも作者は女性だ(英語)
CLAMP(女性漫画家ユニット)はなかったことになるの?(英語)
騒ぎが日本のXユーザーに伝わると「戦後まもなく長谷川町子さんが『サザエさん』の連載を始めたことを知らないらしい」「創作の世界で女性が不利だなんてデマ」などと炎上した。「ガラスの仮面」の美内すずえさん、「11人いる!」の萩尾望都さん、「ちびまる子ちゃん」のさくらももこさん、「鋼の錬金術師」の荒川弘さんなどのヒット作家の名を挙げて反論するコメントも多かった。
一連の投稿から、日本の女性漫画家は性別を隠さないと作品を発表できないというニュアンスを読み取った人が少なくない。しかしインタビュー記事では白浜さんが、ペンネームで匿名性が確保されることにより自分の気持ちに率直な創作ができるようになるという趣旨の発言をしたにとどまっている。創作のために本名を使わないことと、女性の社会進出を阻んだ古い風習がSNS上で結びつけられて誤解を呼んだようだ。
一方でインタビュアーが漫画業界を「伝統的に男性が多い分野(traditionally male-dominated field)」と表現したことには「海外に受け入れられた作品だけで判断しているのではないか」などと異論が噴出している。また、インタビュー記事を掲載したのがユネスコのサイトだったためか、日本の遅れた価値観を上から目線で指摘する雰囲気を感じ取って違和感や“ポリコレ疲れ”をこぼす人もいるようだった。
人気イラストレーターの四季童子さんもこの話題を受け、海外メディアから「女性であることでさぞ苦労してきたでしょう」などと質問されたが、苦労も差別もなかったと答えたというエピソードをXで明かしている。

