食品添加物のなかには、腸内細菌叢のバランスを乱す可能性があるものが存在します。特に人工甘味料や一部の乳化剤・保存料については、腸内環境への影響が動物実験や一部のヒト研究で示されています。ただし、現時点ではヒトへの影響を断定できる段階ではなく、研究は継続中です。どのような添加物が腸内細菌とどのように関わるのかを整理します。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
食品添加物が腸内細菌に与える悪影響
食品添加物の中には、腸内細菌叢のバランスを乱すものがあることが、近年の研究で明らかになってきました。特に人工甘味料や一部乳化剤については、腸内環境への影響が示唆されていますが、ヒトへの健康影響を断定するにはさらに研究が必要です。
人工甘味料による腸内細菌叢の変化
サッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの人工甘味料は、腸内細菌の種類と数に影響を与えることが複数の研究で示されています。ある研究では、人工甘味料を摂取したマウスの腸内細菌叢が変化し、糖代謝が悪化することが確認されました。さらに、その腸内細菌を無菌マウスに移植すると、同様の糖代謝異常が再現されたのです。
人間を対象とした研究でも、腸内細菌叢の構成や機能の変化が報告されていますが、結果は一貫していません。内細菌の多様性は健康のバロメーターであり、多様性が高いほど健康状態が良好であることが知られています。人工甘味料がこの多様性を損なう可能性があることは、見過ごせない問題といえるでしょう。
乳化剤と保存料の腸内環境への影響
ポリソルベート80やカルボキシメチルセルロースなどの乳化剤は、主に動物実験で腸粘膜バリアや腸内細菌叢への影響が報告されています。これにより慢性的な軽度の炎症が引き起こされ、メタボリックシンドロームや炎症性腸疾患のリスクが高まる可能性があります。ただし、ヒトで同様の影響がどの程度起きるかについては、まだ十分な一致した結論には至っていません。
保存料として使用される安息香酸ナトリウムやソルビン酸カリウムも、腸内細菌の生育を抑制します。本来、これらは食品中の腐敗菌や病原菌の増殖を防ぐために添加されますが、腸内に到達すると有用菌にも影響を及ぼす可能性があるのです。特に高濃度で頻繁に摂取すると、腸内細菌叢のバランスが崩れやすくなると考えられています。
まとめ
食品添加物と賢くつき合うためには、その実態を知り、表示を読み解き、日常的に添加物の少ない食品を選ぶ習慣が大切です。特に人工甘味料や一部乳化剤と腸内細菌叢との関係は研究が進んでいますが、現時点ではヒトでの影響はなお検討途上です。完璧を目指す必要はありませんが、できることから少しずつ実践していくことで、確実に健康状態は改善していきます。原材料表示を確認する、生鮮食品を中心に献立を考える、発酵食品や食物繊維を積極的に摂るといった小さな行動の積み重ねが、長期的には大きな違いを生み出します。もし食生活の改善に不安がある場合や、既に消化器症状などでお困りの場合は、消化器内科や栄養相談の専門家に相談されることをおすすめします。
参考文献
厚生労働省「食品添加物」
消費者庁「食品表示法等(法令及び一元化情報)」

