
大規模な災害時は停電や通信障害、通話の集中によって、電話やネットがつながらないことがあります。実際、東日本大震災では首都圏でもつながりにくさを経験した方は多いのではないでしょうか? いま、災害時だけではなく山や海、離島などでも通信が可能な衛星通信サービスが徐々に普及しています。従来は専用の端末が必要でしたが、いまはスマホでも利用が可能に。携帯会社や契約にかかわらず衛星通信が利用できるiPhoneで実際に試してみました。
衛星とスマホの直接通信サービスとは
スマホの衛星通信では、地上基地局を介さずに衛星と直接接続します。これにより、今まで圏外だった山間部や離島、海上はもちろん、災害で地上の通信設備が使えなくなった地域でもテキストメッセージの送受信や、対応アプリでのデータ通信が可能になります。
すでにauが2025年4月、ドコモとソフトバンクは2026年4月からスマホと衛星の直接通信サービスを開始しており、楽天モバイルも2026年中に同様のサービスを提供する見通しです。
iPhoneのデモ機能を使って衛星通信に接続
各社が進めているスマホと衛星の直接通信サービスですが、iPhoneにはApple社が提供する独自の衛星通信機能があります。そのため携帯会社に関係なくiPhone 14シリーズ以降(全モデル、iOS18以降)であれば、衛星通信を利用した「iMessage」や「SMS」のやりとりができる仕様になっています。
通常時に利用しているメッセージアプリでやりとりが可能(画像引用元:Apple)
衛星通信時にiPhoneのメッセージ機能でやりとりできるのは、テキストと絵文字、メッセージに対するリアクションのみで、画像や動画の送付はできません(2026年3月時点)。メッセージを送る相手の端末がApple製品(iPhone、iPad、Mac)の場合はiMessage、Androidスマートフォンなどの場合はSMSとして届きます。
なお2026年3月時点では、衛星経由のSMSが利用できるかどうかは通信事業者や契約プランによって異なります。そのほか衛星通信時にかかる通信料金など、詳細は利用している事業者に問い合わせることをおすすめします。
筆者が使用しているiPhone 16eにも衛星接続のデモ機能があったので実際に試してみました。
iPhoneでの衛星通信接続デモのやり方は以下のとおりです。
「設定」アプリ>「緊急SOS」>衛星経由の緊急SOS「デモを試す」
画面の案内に従って進むと、「衛星通信接続をテストする」と表示されるのでタップします。すると、衛星通信接続デモの画面に移ります。
「設定」アプリを下の方までスクロールすると、「緊急SOS」があります
再び画面の案内に従って、接続できる衛星を探します。
衛星がある方向へスマホを向けるようガイドしてくれます
この際、衛星をうまく見つけられないと「空が妨げられずに見える場所に移動してください」と表示されます。
山や丘など、地形によってはつながりにくい場合も
開けた場所でも近くに樹木があったりすると干渉してしまい、つながらないことがあるので注意しましょう。
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緊急SOSのデモを体験
衛星接続のデモ画面では、緊急SOSを体験することができます。実際に緊急メッセージを送ってみました。
デモ画面では「緊急事態例」として、ふきだしの中にチャット内容が表示されます。
緊急通報サービスとのチャットでのやりとりを体験できる
・現在地を教えてください
・故障の原因を説明できますか?
・ガスまたはその他の液体の漏れは起きていますか?
など、緊急メッセージの例が次々に表示され、順番に回答していきます。
筆者が試したときはスムーズにやりとりが進み、通常の通信と比べてもそれほどタイムラグを感じることはありませんでした(実際の通報の際は、担当者とのやりとりになるので通信方式にかかわらずコミュニケーションの円滑さには変動があると思われます)。
このメッセージのやりとりは、日本国内の場合、Apple社の衛星中継センターにいる緊急対応専門スタッフが対応します。専門スタッフが、テキストで届いた情報をユーザーの代わりに緊急通報サービス(110、118、119)にただちに連絡する仕組みです。
また、iPhoneの「ヘルスケアアプリ」内「メディカルID」で、服薬やアレルギー等の情報や緊急連絡先をあらかじめ入力し、「緊急電話中に共有」をオンにしておくことも重要です。緊急連絡先に家族などの電話番号を登録しておくと、緊急通報サービスへの通報後、キャンセルしない限り登録した連絡先に自動で最新の位置情報などを送信してくれます。
メディカルIDには、血液型や持病などユーザーの健康情報を登録できます
事前に設定しておくことで、メディカルIDの情報とユーザーの位置情報、そして緊急通報サービスとのやりとりの記録が救急隊員へ自動的に共有されます。
これらのiPhoneの衛星通信サービスは、利用開始から2年間は無償で利用が可能です(2026年3月時点)。
なお、iPhoneで利用できる衛星通信機能では音声通話ができません。一方、auやドコモ、ソフトバンクが提供しているStarlink Directの場合はデータ通信が可能です。そのため「WhatsApp」や「Messenger」など、データ通信を利用したビデオ・通話アプリを介した音声通話が可能となります。衛星通信接続時に通話機能を利用したい場合は、キャリアサービスを検討してもよいでしょう。
