全身性強皮症の検査と診断、治療法

全身性強皮症が疑われるときはどのような検査を行うのですか?
全身性強皮症の診断は、問診・診察・各種検査を組み合わせて総合的に行われます。皮膚だけでなく内臓にも影響が及ぶ可能性があるため、全身の状態を多角的に評価することが重要です。問診では、現在の症状だけでなく、これまでの体調の変化や生活歴についても詳しく確認されます。一見関係がないように思える内容でも診断の手がかりになることがあるため、過去の手術歴や職業歴なども含めて正確に伝えることが大切です。
血液検査により自己抗体(抗核抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体など)の有無を確認します。さらに、肺や心臓などの内臓への影響を調べるために、胸部CTや肺機能検査、心臓超音波検査などが行われます。
全身性強皮症の診断基準を教えてください
全身性強皮症の診断では、厚生労働省の研究班による診断基準が広く用いられています。「手指や足趾を超えて広がる皮膚硬化」が大きな判断基準(大基準)とされています。
加えて、以下のような所見が小基準として評価されます。
手指や足趾に限局した皮膚硬化
指先の陥凹性瘢痕や指腹の萎縮
両側肺の基底部の線維化
特定の自己抗体(抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体、抗RNAポリメラーゼⅢ抗体など)の陽性
大基準を満たす場合、または小基準の1を満たしたうえで、2~4のいずれか1つ以上を満たす場合に、全身性強皮症と診断されます。
全身性強皮症の重症度はどのように調べますか?
全身性強皮症の重症度は、皮膚や内臓など複数の項目を総合的に評価して判定されます。主に、皮膚、肺、心臓、腎臓、消化管の5つの臓器・領域ごとに重症度が評価され、その中で最も重いものが全体の重症度として判定されます。
皮膚の評価では、mRSS(modified Rodnan skin score)と呼ばれる指標が用いられ、身体の各部位の皮膚の硬さを数値化して重症度を判断します。
肺は、間質性肺炎の有無や進行の程度、肺機能検査の結果などから評価されます。
心臓では、自覚症状の程度(息切れなど)に加え、心電図や心臓超音波検査の結果をもとに重症度が判定されます。特に心機能を示す指標である左室駆出率(EF)や、心不全の重症度分類(NYHA分類)が重要な判断材料です。
腎臓は、腎機能の低下や血圧の異常などをもとに評価され、必要に応じてシスタチンCを用いた指標で腎機能をより正確に把握します。
消化管では、食道や腸の動きの異常による症状(飲み込みづらさ、便秘や下痢など)の有無や程度をもとに評価されます。
さらに、全身状態や関節の動きの制限、肺高血圧症の有無、血管障害の程度なども重症度の判断に影響します。
全身性強皮症はどのように治療しますか?
全身性強皮症を完全に治す治療法は確立されていません。しかし、近年の医療の進歩により、症状の進行を抑えたり、合併症をコントロールしたりする治療法が増えてきています。治療は、病気の進行を抑える治療と、症状に応じて対処する治療を組み合わせて行われます。
皮膚の硬化や肺の線維化などに対しては、免疫の働きを調整する薬を使用します。また、肺線維症に対しては、進行を抑える目的でニンテダニブなどの抗線維化薬が使用されます。
一方で、合併症に対する治療も重要です。肺高血圧症や指先の潰瘍には血管を広げる薬(ボセンタンなど)、腎クリーゼには血圧をコントロールする薬(ACE阻害薬)、逆流性食道炎には胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬)が用いられます。
参照:
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)
『診断はどのように行われるのですか?』(日本皮膚科学会)
『どんな治療がありますか?』(日本皮膚科学会)
編集部まとめ

全身性強皮症は、皮膚の硬化だけでなく、肺や心臓、消化管などさまざまな臓器に影響を及ぼす可能性がある病気です。
診断は問診・診察・検査を組み合わせて総合的に行われ、診断基準はあくまで判断の目安として用いられます。
治療は、病気の進行を抑える方法と症状を和らげる方法を組み合わせて行われ、近年は新たな治療選択肢も増えてきています。
強皮症は長期的に向き合う必要がある病気ですが、適切な診断と継続的な治療によって症状のコントロールが期待できます。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
【参考文献】
『全身性強皮症(指定難病51)』(難病情報センター)『原因はわかっているのですか?』(日本皮膚科学会)
『診断はどのように行われるのですか?』(日本皮膚科学会)
『どんな治療がありますか?』(日本皮膚科学会)
