もっと知りたい生物学的製剤
編集部
生物学的製剤やJAK阻害薬は具体的にはどのように使うのですか?
白石先生
生物学的製剤注射の投与スケジュールは薬剤により、2週間おき、もしくは4週間おきとなります。初めはクリニックで注射をするのですが、慣れてきたらご自宅に持ち帰りご自身で注射をするようになります。そのため、通院の負担も軽減されます。JAK阻害薬は内服なので、これは自宅で内服するようになります。JAK内服を開始する前に、事前検査として胸部レントゲンと採血が必要です。さらに内服して、1カ月、3カ月、以後6カ月おきに定期的な採血が必要になります。
編集部
では、生物学的製剤の注意点なども教えてください。
白石先生
注射部位の赤みや腫れ、結膜炎、軽い頭痛などが報告されています。重篤な副作用の頻度は高くないとされていますが、治療中は医師の管理下で定期的に経過をみていくことが必要です。また、免疫が抑制されるので、ヘルペスや寄生虫感染が起きやすいとされています。製剤によっては結膜炎がでやすいことも報告されています。異常が現れたらすぐに医師に相談しましょう。
編集部
「生物学的製剤」について、ほかに知っておいたほうがよいことはありますか?
白石先生
一般的な治療をして、効果が得られない場合に導入することができますので、突然生物学的製剤を処方することはできません。また、疾患活動性を測る指標(IGAスコア、EASIスコア、体表面積に占めるアトピー性皮膚炎の割合)で一定要件をクリアすることも必要です。もう一つ、自己負担がやや高額になる場合もあるため、高額医療費制度や学生医療費助成制度、ひとり親家庭等医療費助成制度・子ども医療費助成制度など、国や自治体などの助成制度や自身が加入している医療保険の適用内容についても確認してください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
白石先生
近年のアトピー性皮膚炎治療は目覚ましく変化しています。「どうせ治らない」と諦めていた人でも、アトピーがあることで人目を気にすることなく過ごせたり、かゆみのない生活を送ったりすることができるようになってきました。少しでも多くの人に幅広い治療選択肢を知ってもらい、治療のお手伝いができたらと考えています。
編集部まとめ
アトピー性皮膚炎は、かゆみと炎症を繰り返す慢性疾患です。現在のところ根本的な治療は確立されていないものの、治療の進歩により新しい選択肢が増えています。最近では生物学的製剤やJAK阻害薬が用いられることもあり、患者さん一人ひとりに合った治療を選ぶことができます。症状に悩んでいる人は、近くの皮膚科に相談してみてはいかがでしょうか?

