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「非常に顔色が悪いようですが」不倫カップルの犠牲になった私を気にかけてくれた取引先|社内不倫カップルの末路

「非常に顔色が悪いようですが」不倫カップルの犠牲になった私を気にかけてくれた取引先|社内不倫カップルの末路

軽薄な既婚男性社員・田中の策略で後輩社員・春奈の代わりに厳しいと評判の取引先に向かわされた由美子。そこで出会った女性社員は確かに厳しいものの、由美子を気にかけてくれていて…。

厳しい女性かと思いきや…?

キャリアウーマン

迎えた訪問当日、私は重い頭を抱えて森永商事の重厚なエントランスをくぐりました。
応接室に通され、待つこと数分。現れた森永さんは、噂に違わず、全身から凛とした知性と厳格さを漂わせる女性でした。
一切の無駄がない歩き方、そして射抜くような鋭い眼光。彼女の前に座るだけで、自分の不備がすべて白日の下に晒されるような、奇妙な圧迫感を感じます。

私は心臓の鼓動を抑えながら、昨日まで死に物狂いで整理したプレゼンを開始しました。

「……以上の三点が、今回私たちが提案する最適化プランです。前任者が作成していた案をベースに、貴社の懸念事項である運用コストの低減を主眼に置いて修正いたしました」

一通りの説明を終えると、森永さんは無言のまま、私の顔をじっと見つめました。沈黙が重くのしかかり、私の背中を冷や汗が伝います。不手際を指摘されるのか、あるいは急な担当変更を糾弾されるのか……。しかし、彼女が発したのは予想だにしなかった言葉でした。

「……驚きました。正直、これまでの担当者からの提案は、どこか焦点がぼやけていて、こちらの要望を表面的になぞっているだけの印象でした。ですが、由美子さんの説明は非常に明快です。私たちの本質的な課題を、正確に把握されている」

彼女はわずかに口角を上げました。それは、冬の朝の冷たい空気がふっと緩むような、高潔で美しい微笑でした。

「ありがとうございます、急な担当変更で至らない点もあったかと思いますが、そう仰っていただけると救われます」
「確かに、前任の春奈さんからあなたに変わると連絡があったのは昨日でしたね。彼女には荷が重いと、上司の方が判断されたのですか?」

森永さんの問いは、ビジネス上の興味というより、どこか「組織の在り方」を観察するような冷徹な響きがありました。
その後、一時間以上に及ぶ打ち合わせの中で、彼女は厳しい質問を投げかけつつも、私の回答を一つ一つ丁寧に吟味し、より高い次元へとプランを昇華させてくれました。

「お疲れ様でした。今日の議論は非常に有意義でした」

打ち合わせが終わり、帰り際になったところで、彼女がふと表情を和らげました。そこには、ビジネスの顔ではない、一人の年上の女性としての優しさがありました。

「ところで、由美子さん。失礼ながら、非常に顔色が悪いようですが……。無理をなさっていませんか? あなたのような優秀な人間が、組織の歪みのために擦り切れてしまうのは、社会的な損失ですよ」

その言葉に、私は不覚にも涙が出そうになりました。分かってくれる人がいた。
私の努力を、そして私の置かれた異常な状況を、初めて誰かが正当に評価してくれた。私は堪えきれず、「ここでは何ですから」と伝えると、森永さんは「では直帰とのことですし、お食事でも。お酒は嗜まれますか?」と言ってくださりました。

お酒のせいで漏れ出たすべて

お酒

彼女のおすすめだという、凛とした雰囲気からは意外なまでに賑やかな居酒屋に連れてきてもらいました。実際食事もお酒も美味しく、私も気が緩んでしまい…あの日から胸に溜まっていた泥のような感情を、少しずつ吐露し始めました。

「実は、今の部署は少し、風通しが悪くなっておりまして。……上司が、特定の部下と不適切な関係にあり、その私情が業務の割り振りにまで及んでいるのです。本来は私がここへ来るはずではありませんでしたが、彼が『愛人を厳しい現場に行かせたくない』という理由で、私を矢面に立たせたのです」

私は止まらなくなりました。田中さんの慢心、春奈さんの盲目的な献身、そして二人が誇らしげに語っていた箱根旅行のこと。社内の誰もが知っていながら、誰も口に出せない腐敗した空気。
私の話を聞くにつれ、森永さんの瞳の奥に、かつて見たことがないほど冷たく、凍てつくような光が宿っていくのが分かりました。

「……その二人が箱根に行ったのは、いつのことですか? 詳しく教えていただけますか」
「ええと、先月の十五日と十六日です。田中さんがそう自慢していましたから、間違いありません。あ、もちろん業務には支障がない範囲での休暇という形ですが……」

森永さんは、深く、長く息を吐き出しました。その手は机の上で硬く握りしめられ、微かに、しかし確かに震えていました。

「十五日と十六日。…なるほど」
「え……?」

私は思考が凍りつきました。今、彼女は何と言ったのでしょうか。

「いえ、なんでも。とりあえず、もう一杯いかがです」

森永さんはそう言うと、メニューを開きました。私はすぐに疑念を忘れ、お酒を追加で注文したのでした。

配信元: ママリ

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